【法令共通】防火対象物に関する基準|令8区画・令9条かっこ書き【過去問】

同じ建物やのに、それぞれ別の建物として消防用設備等の設置基準が生じる場合があるってホンマなん!?
お見込みの通り。
消防関係者は誰もが知っている「令8区画」って「開口部のない耐火構造の床または壁」で区画されている場合の話ですね。
ここ、テスト(消防設備士試験)に出ます。
他にも実務でハチャメチャ出てくる概念「令9条かっこ書き」も説明していきます、刮目せよ!

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管理人は消防法に基づく消防設備士および危険物取扱者の免状を共に全類取得している為、消防関係法令(共通)もナルトの影分身くらいマスターしています。

これから話す内容は消防設備士試験だけでなく実務でも使う知識なので、特に消防関係者は必ず理解した上で頭に入れておきましょう!

同一敷地内に2以上の防火対象物がある場合

消防法施行令第2条にて「同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である別表第一に掲げる防火対象物が二以上あるときは、それらの防火対象物は、消防法第8条〔防火管理者〕第一項の規定の適用については、一の防火対象物とみなす。」ことができます。

ただし、単に同一敷地内に2以上の防火対象物があるだけでは、別々の防火対象物なので注意。

令8区画とは

令8区画とは、防火対象物が「開口部のない耐火構造の床または壁」で区画されているときは、その区画された部分は、それぞれ別の防火対象物とみなして消防用設備等の設置基準を適用できる区画のことです。

参考消防法施行令 第8条〔通則〕

令8区画「開口部のない耐火構造の床または壁」なことだけは必ず覚えておいて下さい!
この「開口部のない耐火構造の床または壁」には、例え「特定防火設備である防火戸」や「ドレンチャー設備」であっても設けられていては令8区画は成立しません。

令8区画の「開口部のない耐火構造の床または壁」は消防設備士の試験に頻出です!

複合用途防火対象物の同一用途に適用する規定(令9条)

複合用途防火対象物の部分で、令別表第1の(1)~(15)項の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、消防用設備等の設置基準について、その管理者や階に関係なく同一用途に供される部分を一の防火対象物とみなす規定が、この消防法施行令 第9条です。

ただし、以下の例外である ❝令9条かっこ書き❞ の概念に注意します。

令9条かっこ書き(令9条の例外)

令9条の例外として「全館を一体的に捉えて、その火災危険性を評価して複合用途防火対象物でも建物全体に設置されるべき消防用設備等」の基準について、令9条の( )内に、以下の通り列記されています。

複合用途防火対象物でも全体に設置義務が生じる消防用設備等

参考既存“連結散水設備”の設置義務が無くなった例

令9条かっこ書き内では、これらの消防用設備等は令9条の規定の適用対象から除くと謳われています。

つまり、スプリンクラー設備や自火報「は(16)項イ複合用途防火対象物」まるまる一棟全体に対して設置義務が生じるわけです。
よく考えてみれば当たり前の話で、例えば誘導灯なんか「設置されている階と無い階」があったら逃げるとき困りますもんね。

この令9条の例外を ❝令9条かっこ書き❞ といい、しょっちゅう実務で出てくるルールになります。

消防法施行令 第19条〔屋外消火栓設備に関する基準〕

屋外消火栓の設置基準で「建築物相互の一階の外壁間の中心線からの水平距離が、1階にあっては3m以下、2階にあっては5m以下である部分を有するものは、一の建築物とみなす。」という建物同士が近接していたら一つの防火対象物とする規定があります。

この建物間の「距離」で防火対象物を一つにして設置基準を適用する規定は屋外消火栓だけの設置基準なので、他の消防用設備等には適用されません。

同一敷地内にある二以上の令別表第1に掲げる建築物(耐火建築物及び準耐火建築物を除く。)で、当該建築物相互の一階の外壁間の中心線からの水平距離が、1階にあっては3m以下、2階にあっては5m以下である部分を有するものは、屋外消火栓の設置基準(耐火建築物にあっては床面積9,000㎡以上、準耐火建築物にあっては床面積6,000㎡以上、その他の建築物にあっては床面積3,000㎡以上のもの)の適用については、一の建築物とみなす。

参考消防法施行令 第19条〔屋外消火栓設備に関する基準〕

ひっかけ問題の選択肢として出題されるので、この屋外消火栓の設置基準についても頭に入れておきましょう。

特定防火対象物の地階 ≒ みなし地下街(令9条の2)

特定防火対象物の地階で、地下街の一体を成すものとして消防長または消防署長が指定したものについては以下に掲げる消防用設備等の設置基準は地下街の一部とみなして適用されます。

みなし地下街の設置基準が適用される消防用設備等

  • スプリンクラー設備
  • 自動火災報知設備
  • ガス漏れ火災警報設備
  • 非常警報器具または非常警報設備

参考消防法施行令 第第9条の2〔通則〕

それでは以下の消防設備士試験の過去問(※頻出)にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!

消防設備士試験の過去問(法令共通)

Q質問

消防用設備等の設置および維持に関する技術上の基準の適用において、一棟の防火対象物であっても別の防火対象物とみなされる部分として消防法令上、正しいものは次のうちどれか。(甲4奈良)

A回答

設問の ❝一棟の防火対象物であっても別の防火対象物とみなされる部分❞ は令8区画の話であり、令8区画の定義は「開口部のない耐火構造の床または壁で区画された部分」です。

例え「特定防火設備である防火戸」や「ドレンチャー設備」であっても設けられていては令8区画は成立しません。

Q質問

消防用設備等を設置しなければならない防火対象物に関する説明として消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。(甲1大阪)

A回答

3. は屋外消火栓の設置基準のみ適用されるものです。

Q質問

消防用設備等を設置する場合の防火対象物の基準について、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。(甲1滋賀、乙2奈良)

A回答

選択肢1. のみ令8区画の説明であり、正しいです。

選択肢2.については ❝単に同一敷地内に2以上の防火対象物があるだけでは、別々の防火対象物❞ です。

Q質問

消防用設備等の設置単位は原則として棟ごとであるが、同一敷地内の部分でも別の防火対象物とみなされるものとして、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。(甲4京都)

A回答

設問の ❝一棟の防火対象物であっても別の防火対象物とみなされるもの❞ は令8区画の話であり、令8区画の定義は「開口部のない耐火構造の床または壁で区画された部分」です。

例え「特定防火設備である防火戸」や「ドレンチャー設備」であっても設けられていては令8区画は成立しません。

Q質問

消防用設備等の設置および維持に関する記述として消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。(甲2奈良)

A回答

複合用途防火対象物の部分で、令別表第1の(1)~(15)項の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、消防用設備等の設置基準について、その管理者や階に関係なく同一用途に供される部分を一の防火対象物とみなす規定が本来、選択肢2. の消防法施行令 第9条です。

選択肢1. については「【法令共通】消防法第17条第2項の「付加条例」について【過去問】」を参照下さいませ。

迷わずに回答できましたか?
もし、まだ自信がないのであれば繰り返し「過去問テスト」等を使って類題を解くことをオススメします!

消防設備士「過去問テスト」とは

消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

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まとめ

  • 消防法施行令第2条にて「同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である別表第一に掲げる防火対象物が二以上あるときは、それらの防火対象物は、消防法第8条〔防火管理者〕第一項の規定の適用については、一の防火対象物とみなす。」ことができた。
  • 令8区画とは、防火対象物が「開口部のない耐火構造の床または壁」で区画されているときは、その区画された部分は、それぞれ別の防火対象物とみなして消防用設備等の設置基準を適用できる区画のこと。
  • 複合用途防火対象物の部分で、令別表第1の(1)~(15)項の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、消防用設備等の設置基準について、その管理者や階に関係なく同一用途に供される部分を一の防火対象物とみなす規定が、この消防法施行令 第9条