【法令共通】消防用設備点検と点検結果報告の義務【過去問】

消防設備士じゃなくても消防点検できる建物あるってホンマなん!?
ホンマです。
例えば延べ面積1,000㎡以下で、特定一階段等防火対象物じゃなかったら消防法上は誰でも点検できますよ!
特定一階段等防火対象物とは「3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物」のことです。
消防設備士の免状を持っているに越したことはないけど、いらん場合も多々あるって話は覚えておきましょう!

ブログ著者の紹介

管理人は消防法に基づく消防設備士および危険物取扱者の免状を共に全類取得している為、消防関係法令(共通)もネスのPKファイヤーくらいマスターしています。

以下の話を覚えておけば、少なくとも消防設備士試験の類題は満点でしょう。

消防用設備点検および報告の義務

防火対象物(消防法 第17条にて消防用設備等の設置義務が生じている建物)の関係者は、防火対象物の消防用設備等について定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければならないことが消防法 第17条の3の3にて規定されています。

※ただし令別表第1の(20)項 舟車(しゅうしゃ)のみ消防法 第17条の3の3の消防用設備点検を要しません。

消防関係者は、この俗に言う “消防点検” のことを「17条の3の3の点検」って普通に言うたりしますんで覚えときましょ。
他にも「8条の2の2の点検(=防火対象物点検)」とかあるんで、根拠法令の数字で表現できると便利な場面あります。

消防用設備点検の実施義務は、防火対象物の関係者にあることを覚えておきましょう!

任意設置の消防用設備等は点検対象外

消防法 第17条にて消防用設備等の設置義務が生じている建物のみ消防用設備点検の対象となる為、❝任意に設置された消防用設備等❞ については点検報告の対象外です。

有資格者に点検させなければならない防火対象物

実は「17条の3の3の点検(=消防用設備点検)」は必ずしも消防設備士や消防設備点検資格者などの有資格者が点検しなければならないわけではなく、以下の条件3つに該当する防火対象物についてのみ有資格者による点検が必要です。

有資格者が点検する建物条件3つ

  1. 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  2. 延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  3. 特定一階段等防火対象物(3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物)

この条件に当てはまらなければ消防法上、消防用設備点検は誰でもやっていいことになっています。

参考「補助」業務なら消防設備士の免状が無くても点検可能!

「消防長または消防署長が指定するもの」とは?

有資格者に点検させなければならない防火対象物として「非特定防火対象物で延べ面積1,000㎡以上のもののうち ❝消防長または消防署長が火災予防上必要であると認めて指定するもの❞」とありますが、それらの詳細は各消防本部の内規(消防本部ごとに決めているルール)にて以下の通り謳われていることが多いです。

消防長または消防署長が指定する非特定防火対象物

  • 1 令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項に掲げる防火対象物で延べ面積が1,000㎡以上のもの
  • 2 令別表第1(18)項に掲げる防火対象物で道路の全面をおおい、かつ、延べ面積が1,000㎡以上のもの

しかし現在、実際のところ有資格者でなくても点検できる建物でも消防設備士が点検している場合がほとんどです。
全体の流れとしても個人的にも、もっと簡単な点検は有資格者じゃない人や、防災屋(プロ)じゃない人がする世の中になればと思っています。

防火管理者の皆さま、ご自分で消防用設備点検をしてみませんか?

消防用設備点検および報告の周期

17条の3の3の点検(=消防用設備点検)の実施および報告の周期は、以下の通りです。

実施と報告の周期が違うことに注意!

点検の実施周期

  • 機器点検‥6ヶ月ごと
  • 総合点検‥1年ごと

消防署へ報告する周期

  • 特定防火対象物‥1年に1回
  • 非特定防火対象物‥3年に1回

ちなみに総合点検とは「総合点検=機器点検+α」って感じで覚えておいて間違いないです。
このルールより、総合点検のタイミングで消防署に消防用設備点検の報告書を提出するパターンが多いです。

では17条の3の3の点検(=消防用設備点検)に関する消防設備士試験の過去問(※頻出)にチャレンジして、内容が頭に入っているかを確認しましょう!

消防設備士試験の過去問(法令共通)

Q質問

消防用設備等の点検および報告について、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、総務省令で定める舟車を除く。(甲4奈良)

A回答

防火対象物(消防法 第17条にて消防用設備等の設置義務が生じている建物)の関係者は、防火対象物の消防用設備等について定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければならないことが消防法 第17条の3の3にて規定されています。

Q質問

消防用設備等の点検および報告について、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、総務省令で定める舟車を除く。(乙6京都)

A回答

以下の条件に当てはまらなければ消防法上、消防用設備点検は誰でもやっていいことになっています。

有資格者が点検する建物条件3つ

  1. 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  2. 延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  3. 特定一階段等防火対象物(3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物)

よって消防設備士の免状がなくても消防用設備点検ができる建物は、たくさん存在します。

Q質問

消防用設備等の定期の点検を消防設備士または消防設備点検資格者にさせなければならない防火対象物(特定一階段等防火対象物は除く。)として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、いずれの防火対象物も消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めて指定したものではないとする。(甲1滋賀、乙4奈良)

A回答

消防設備士または消防設備点検資格者にさせなければならない防火対象物は以下の通りです。

有資格者が点検する建物条件3つ

  1. 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  2. 延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  3. 特定一階段等防火対象物(3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物)

(1)項ロ 集会場は特定防火対象物なので延べ面積1,000㎡以上で有資格者による消防用設備点検の実施義務が生じます。

Q質問

消防用設備等の定期の点検を消防設備士または消防設備点検資格者にさせなけばならない防火対象物として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、いずれの防火対象物も消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するものではないものとする。(乙1大阪、甲4奈良)

A回答

消防設備士または消防設備点検資格者にさせなければならない防火対象物は以下の通りです。

有資格者が点検する建物条件3つ

  1. 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  2. 延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  3. 特定一階段等防火対象物(3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物)

Q質問

消防用設備等の定期の点検を消防設備士または消防設備点検資格者にさせなければならない防火対象物として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するものを除く。(乙6滋賀、乙6奈良)

A回答

消防設備士または消防設備点検資格者にさせなければならない防火対象物は以下の通りです。

有資格者が点検する建物条件3つ

  1. 延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物
  2. 延べ面積1,000㎡以上の非特定防火対象物で消防長または消防署長が指定したもの
  3. 特定一階段等防火対象物(3階以上もしくは地階に特定防火対象物の用途があり、かつ避難経路は屋内階段が1本の建物)

Q質問

消防用設備等の点検および報告に関する記述として消防法令上、正しいものは次のうちどれか。(甲1大阪)

A回答

防火対象物(消防法 第17条にて消防用設備等の設置義務が生じている建物)の関係者は、防火対象物の消防用設備等について定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければならないことが消防法 第17条の3の3にて規定されています。

よって ❝任意に設置された消防用設備等❞ については点検報告の対象外です。

Q質問

消防用設備等の点検の結果について消防法令上、消防長または消防署長への報告期間が1年に1回と定められているものは次のうちどれか。ただし規則第31条の6第4項の規定に基づく、消防庁長官が定める事由により点検等の期間を延長する措置は考慮しないものとする。(甲2奈良)

A回答

(3)項ロ 飲食店は特定防火対象物なので、1年に1回の周期で消防署へ報告する義務があります。

消防署へ報告する周期

  • 特定防火対象物‥1年に1回
  • 非特定防火対象物‥3年に1回

建物構造は、点検周期と関係ありません。

迷わずに回答できましたか?
もし、まだ自信がないのであれば繰り返し「過去問テスト」等を使って類題を解くことをオススメします!

消防設備士「過去問テスト」とは

消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

参考青木防災㈱【公式】🧯note

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上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、随時追記して解説を更新していきます。

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まとめ

  • 防火対象物(消防法 第17条にて消防用設備等の設置義務が生じている建物)の関係者は、防火対象物の消防用設備等について定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければならない。
  • 必ずしも消防設備士や消防設備点検資格者などの有資格者が点検しなければならないわけではなく、「延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物」等の条件に該当しなければ消防用設備点検は誰でもやっていい
  • 消防用設備点検の点検周期は「機器点検‥半年に1回」および「総合点検‥1年に1回」で、報告周期は「特定防火対象物は1年に1回」で非特定防火対象物は「3年に1回」と実施と報告の周期が違う。