【法令共通】統括防火管理者とは?選任要件について解説!【過去問】



目次
統括防火管理者とは
統括防火管理者とは一つの建物で複数の防火管理者がいる場合に一人だけ選任される、全体の防火管理業務を統括する防火管理者の代表者を指します。

これらの原因として「テナント部分の防火管理と廊下や階段等の共用部分を中心とした建物全体の防火管理体制の役割分担・責任の所在が明確ではなかったこと」が挙げられた為、管理権原が分かれている建物については建物全体を統括して防火管理業務を行う「統括防火管理者」およびテナント部分の防火管理業務を行う「防火管理者」をそれぞれ定めて防火管理の役割分担と責任の所在を明確にすることが消防法上で規定されたのです。
統括防火管理者の選任例
以下の様な複数の管理権原者が異なるテナントの入った雑居ビルで防火管理者が別々に選任されている場合、防火管理者の代表として統括防火管理者を選任します。
統括防火管理者の選任義務がある建物
以下の条件に当てはまり、かつ管理権原が分かれている防火対象物については統括防火管理者の選任義務が生じます。
防火対象物の種類 | 階数 | 収容人員 | |
1. | 高さ31mを超える防火対象物 | - | - |
2. | 消防長または消防署長が指定する地下街 | - | - |
3. | 準地下街 | - | - |
4. | (6)項ロ (16)項イに(6)項ロが存する防火対象物 | 3階以上 (地階を除く) |
10人以上 |
5. | 特定防火対象物 | 3階以上 (地階を除く) |
30人以上 |
6. | (16)項ロ 非特定用途の複合防火対象物 | 5階以上 (地階を除く) |
50人以上 |
消防法施行令 第3条の3〔統括防火管理者を定めなければならない防火対象物〕

統括防火管理者に選任できる人
統括防火管理者になるための資格は無く、防火管理者講習修了者かつ以下の条件を満たす者が統括防火管理者の選任対象となります。
統括防火管理者が実施する防火管理業務
統括防火管理者は分かれた管理権原毎に選任されている防火管理者と協議し、建物全体の消防計画を作成・届出および内容に基づく訓練の実施などを行います。
消防設備士試験の過去問(法令共通)
ア 老人短期入所施設で、収容人員が10人のもの
イ 飲食店で、収容人員が20人のもの
ウ 物品販売店舗で、収容人員が30人のもの
エ 事務所で、収容人員が40人のもの
- 消防計画の作成
- 消火・通報および避難の訓練の実施
- 消防用設備等の点検および整備
- 火気の使用または取扱いに関する監督
- 避難または防火上必要な構造及び設備の維持管理
- 収容人員の管理
- その他防火管理上必要な業務
よって4. の防火管理者の解任の届出は含まれていないので、これを選ぶ。
「[ ア ]は、消防の用に供する設備、消防用水もしくは消火活動上必要な施設の[ イ ]および整備または火気の使用もしくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。」(甲1滋賀)
防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。
よって選択肢4. の組合せが正しい。
「消防設備士が防火対象物点検資格者となるための条件の一つとして、消防用設備等の工事・整備または点検について【 】以上の実務経験が必要である。」(乙6奈良)
法第十七条の六に規定する消防設備士で、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事・整備又は点検について三年以上の実務の経験を有する者
よって3. の3年が正しい。
防火対象物点検資格者は防火管理者の選任要件も満たします。


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まとめ
- 統括防火管理者とは一つの建物で複数の防火管理者がいる場合に一人だけ選任される、全体の防火管理業務を統括する防火管理者の代表者を指した。
- 統括防火管理者は分かれた管理権原毎に選任されている防火管理者と協議し、建物全体の消防計画を作成・届出および内容に基づく訓練の実施を担当した。
- 複数の異なる管理権原者がいても(5)項ロの単独用途である分譲マンション等では統括防火管理者の選任義務は生じなかった。