総合盤(発信機・音響ベル・表示灯からなる機器収容箱)の配線工事
総合盤とは「発信機・音響ベル・表示灯」からなる機器収容箱であることや、その消防法上の設置基準については前記事「総合盤とは?」で言及していました。
続いて、配線工事に関して解説していきます。
電気屋さんが主に扱うVVFケーブルは主に2~3本のVA線のみですから、我々のような消防用設備等を施工する業者である防災屋が扱うケーブルを見て『色が多くてムリ…!』という感想を頂く事もあります。
しかし、カラフルであるが故に扱いやすく、施工の効率を向上させているのは確かですから、続きでその理由をご確認下さいませ。
目次
総合盤の施工概要
幹線内電線の本数決定
幹線ケーブルという電線が複数本入ったケーブルを受信機-総合盤間、総合盤相互間に敷設します。
まず、その幹線内の電線本数を数える必要があります。幹線内電線の内訳の例を以下に記します。
上記のL:ライン線の本数は警戒している区域の数と同じですから、この場合4回線と表現されます。
表より、電線が10本必要であると分かれば、5ペアの幹線を用いれば良いと分かります。
幹線ケーブル内の電線はカラフルに色付けされており“赤・白”のペアや“緑・白”というように二本が一対となって入っています。
その為、同じ色の電線があり、それを見分ける為に例えば同じ「白色」の電線でも「“赤・白”ペアの白」であったり「“緑・白”の 白」といったように、ペアとなっている電線の情報でさらに区別することでより多くのパターンを生み出しているわけです。
また、同じ建物内でも使用する幹線ケーブル内の電線本数、つまり必要な“ペア”の数は変化します。
以下の3階建ての建物の系統図をご覧下さい。
例えば、1階に大元の制御盤である受信機がある建物ですと、下からL:ラインの線が使われていきます。
注目すべきが2階から3階へ送る部分で、3階では①1階・②2階のL:ラインの線は使わないので、電線2本分つまり1ペアを省略することが出来ます。2階から3階に敷設される幹線内電線の内訳は以下のようになります。
さらに、建物規模が大きいことによる幹線内電線の本数が変わる要因が2つあります。一
つ目はC:コモン線の増加です。
C:コモン線1本に対して、L:ライン線は7本までという決まりがある為、例えばL:ライン線が8本必要な建物だと、C:コモン線が2本になります。
そしてもう一つはL:ラインの本数が6本以上、つまり6回線以上になる場合です。
回線数が5以下のものを「2級」、6回線以上は「1級」という分類があり、1級になるとT線という大元の制御盤である受信機と、各発信機間で通話する為の電話用の線が増えます。
以下の例をご覧下さい。
幹線ケーブルの配線
石膏ボード裏に落として隠蔽配線が可能である場合と、金属管・PF管という電線管の中に入れて敷設する露出配管による配線があります。
また、コンクリート埋設であればCD管という電線管も用いることが出来ます。
幹線ケーブルの敷設時に防火区画を貫通する場合は、区画貫通処理といって火災時に貫通部から炎が侵入して延焼しないよう、耐火パテで埋めるなどの措置を取らなければなりません。
新設時の設計図面にも、防火区画がされている建物の場合、区画を貫通する箇所を図面上で明記する必要があります。
総合盤内での配線
総合盤の箇所まで幹線ケーブルを配線したら、幹線内電線の内訳上で振り分けた配線色の通りに端子台へ結線します。
大元の制御盤である受信機側から見て最後の総合盤以外は、次の総合盤と接続する為の幹線があるので計2本のケーブルがあることとなります。
幹線ケーブル内の電線本数の算定は、甲種消防設備士4類の製図に頻出される試験問題でもあります。
この様に実際の現場で行われている基本的な内容でもありますから、是非とも習得して頂きたいです。また、当記事で施工方法や種別を知ることで、少しでも火災報知器への見方が変わり、より多くの方に興味を持っていただければ幸いです。