感知器(天井にある火災報知器)の種類と設置基準|熱感知器・煙感知器

誰しも一度は目にしたことがある火災報知器‥
今回は、その種類や施工方法について解説します。

火災報知器の種類

一般に「火災報知器」と呼ばれ、皆様がご覧になられた事があるものは「住宅用火災警報器」と「自動火災報知設備の感知器」の二種類に分けることができます。

  • 設置に資格が不要なものが「住宅用火災警報器」
  • 甲種4類の有資格者が施工するのが「自動火災報知設備の感知器」

住宅用火災警報器

住宅用火災警報器は電池式で電気関連の工事が不要なため資格がなくても設置できます。

自動火災報知設備の感知器

自動火災報知設備の感知器は配線・結線工事や、消防法施行令で定められた「防火対象物」という多くの人が利用する場所に設置されます。

誤った施工で多くの人の命が危険に晒されることを防ぐ為、消防設備士甲種4類の免状取得者による工事が義務付けられています。

自動火災報知設備の感知器には「スポット型」という丸型の機器の他に、「分布型」というワイヤーを用いて天井に張り巡らせるものの2種類がありますが、この記事ではスポット型について言及していきます。

感知器とは

自動火災報知設備は、火災による熱や煙を「感知器」により自動的に感知して管理人室などに設置された「受信機」に火災情報を伝え、警報ベルや館内放送設備と連動して建物内にいる人に火災を報知する設備です。

現在、防火対象物で主に設置されているのは「熱感知器」と「煙感知器」の二種類です。

熱感知器の種類と作動原理

熱感知器には火災の熱による温度差を感知して発報する「差動式スポット型感知器」と一定の温度に達したら発報する「定温式スポット型感知器」があります。

差動式スポット型感知器の作動原理

差動式スポット型感知器は、火災発生時のような急激な温度上昇があると感知器内の膨張した空気が感知器内にあるダイアフラムというスイッチの役割を果たす金属を押し上げて発報します。

一定量まで空気が膨らまないと発報しないため、作動原理を風船に例えられることもあります(空気が多くなると破裂(発報)する)。

定温式スポット型感知器の作動原理

定温式スポット型感知器は文字通り、温度を感知して一定の温度になると「バイメタル」という熱膨張率の異なる2枚の金属板を張り合わせたものが温度変化で曲がる性質を利用して火災発報します(発報時にはパチンと音が鳴る)。

「サーミスタ式」とは

定温式スポット型感知器には温度変化による「電気抵抗の変化」を感知して発報するタイプもあります。

温度検知にはサーミスタという半導体素子(図中Aの部分)が使用されており、差動・定温式共に形状が似ています。

その為、定温式のものには本体に印がしてあります。

感知部の中央にあるマッチ棒の先端のようなものがサーミスタと理解しておけば間違いないです。

熱感知器の設置基準

感知器はオフィス環境から工場、厨房と様々な場所に設置する必要があります。

その為、例えば押入などの収納は布団などが燃える場合は徐々に温度変化するため差動式だと温度差を感知できず火災発報しない可能性がある為、そこで60℃になると発報する特種60℃の定温式スポット型感知器を設置します。

一方、キッチンや洗面所では湯気などの湿気による影響が懸念されるほか、急激な温度変化も起こりやすい為、70℃に達すると発報する防水型70℃の定温式スポット型感知器を設置します。

さらにサウナのような高温下では設定温度の最も高い150℃タイプの定温式スポット型感知器が最適になります。

そのほかにも定温式は差動式と比べると、感度は劣るが誤報が起こりにくいという特徴も加味して機種を決定します。

もし、定温式スポット型熱感知器を使用すべき箇所に差動式スポット型感知器を設置すれば誤作動の原因になります。

火災が発生していないにもかかわらず自動火災報知設備が作動する事を「非火災報」や「誤報」といい建物の利用者にとっては大迷惑になります。

しかも、誤報が起こることは必要な時に機能しない状態という恐れもあるので定期的なメンテナンスが重要な機器です。

煙感知器の設置基準

縦空間に吹き抜けていると熱を感知しにくく延焼の恐れがある為、主に「堅穴」といわれる階段やエレベータ等の縦に貫通している箇所には煙感知器を設置します。

また、スポット型感知器が設置可能であるのは8m以下の空間とされ、それより天井が高い場合は煙感知器や分布型の熱感知器を設置することになります。

感知器の設置する場所の注意点

感知器の種類によって設置基準が消防法で定められています。

例えば、感知器はエアコン等の吹出しから1.5m以上離して設置すること。

これは熱感知器であればエアコンの風により急激に温度変化が生じると火災発報してしまったり、煙感知器であればエアコンの風によって煙が拡散してしまい有効に検知できなくなってしまう可能性があるためです。

また、熱感知器は壁からの離隔距離はゼロでもいいですが、煙感知器は煙を有効に感知する為に壁から60cm以上離して設置が必要です。

改装工事時に注意

これらのように感知器が消防法上、不適切な箇所に設けられるという状況は自動火災報知設備の施工時に注意しなければならないのは勿論ですが、注意しなければいけないのはリニューアル工事のケースです。

感知器の設置当時は消防法に則った距離が確保できていたにも関わらず、エアコンを交換・移動、新しく間仕切壁を作るなど建物自体がリニューアルされたた場合、設置基準を満たさない状態に変わってしまう可能性があります。

リニューアル工事や消防用設備の定期点検時に、そのような感知器を見つけたときは設置位置の変更工事を提案するとよいでしょう。

これって煙感知器なの?

以前、煙感知器の形状を模した盗撮用カメラが見つかり話題になったことがありました。このニセモノの画像を目にしたとき消防設備士の目で見れば一目でニセモノだと判断できました。

その理由は設置位置です。煙感知器の設置場所としてはあまりに壁に近かったのです。

このような感知器型の盗撮カメラが設置されていることは、ほぼ考えられませんが専門家として違和感があればオーナーや管理者に相談するとよいでしょう。

感知器の施工概要

まず配線をして受信機という大元の制御盤から各感知器へDC(直流)24Vの電源を供給する必要があります。

電源には電池でお馴染みの通りプラス(+)とマイナス(-)があり、自動火災報知設備の場合はこのプラスとマイナスが接触して短絡(ショート)すると発報する仕組みになっています。

自動火災報知設備の場合、プラス極側をライン+(電圧線)といい、マイナス極側をコモン-(共通線)と言います。

「2心回し」とは

各感知器には、まず電源側のライン+(電圧線)とコモン-(共通線)の2本の線が入り、そして次の感知器へ電源を送る為のライン+(電圧線)とコモン-(共通線)の2本の線が出ています。

つまり合計4本の電線があることになりますが、基本的には2本で一対になった電線を使用した「2心回し」で配線を行います。

送り配線とは

感知器配線で最も気をつけなければならないのが「送り配線」にしなければならないことです。

以下の図をご参照ください。

(“Ω”の記号は終端抵抗を指します)

送り配線とは、分岐をさせずに配線する事です。

ポイント

要は一筆書きの事で、途中で分岐していたら送り配線になりません。

直列(一筆書き)では無く並列(分岐させた状態)になっていることを“パラっている”と表現します。このパラっている事の何がダメかと言うと『断線が検出できない』ことです。

電源となる受信機は、一列に伸びた感知器たちがうまくやっているかを最後の感知器についた“終端抵抗”を使い『最後の奴いるな、全員電気的に繋がっているな!』と確認しています。

「4心回し」とは

上述した通り、基本的には白・赤の合計2本(1ペア)の電線を使用する「2心回し」で配線します。

しかし、4本で1ペアの電線を用いる「4心回し」で配線を行うこともあります。

実際の配線写真をご覧下さいませ。

ご覧の通り、2心回しでも4心でも電気的には何ら変わりないのです。

4心回しのメリット

では、なぜ4心の電線を使うかと言うと、施工性が良い場合があるからです。

例えば既設の建物に感知器を一つ増設する場合は、4心を一本、既設の感知器から延長するだけで “行き・帰り” の配線が可能となります。

図をご覧下さい。

このように、既設回路から感知器を増設する場合に電線を一本渡すのみで良い為、便利なわけです。

しかし、4心回しはジョイント部分が増える為、新設時はできるだけ2心回しで設計・施工します。

感知器の取付方法

隠蔽(いんぺい)配線の場合

感知器の配線が外に出ていると不恰好になる為、基本的にはまず天井内に配線を隠す隠蔽配線を行い、感知器を設置していきます。

新設または改装時で天井がまだ貼られていない場合、軽量鉄骨天井下地(以後「軽天下地」という)に感知器の配線を通す為の穴をあけて線を入れておきます。

注意

そのまま感知器の配線を天井の上に置いておくと、ボード屋さんがそのまま天井を貼ることでフタをしてしまい電線がどこにあるか分からなくなってしまいます。

写真のように穴をあけて線を出しておくことで、感知器の線があることに気付いてもらい、ボード屋さんはボードを少し切り欠き、そこから電線が出た状態になるようボードを貼ってくれます。

その為、多くの感知器は軽天下地に沿って固定されており、ジプトーン等では繋ぎ目に設置されているのが分かります。

ポイント

固定の方法ですが弊社では「コーススレッド」という先端の尖ったネジで、軽天下地を貫通して感知器を頑丈に固定します。

インパクトドライバーを使うとすんなり入っていきますが、普通のドライバーで固定するとなると少し力が必要になります。

他の設備と感知器の離隔距離

隠蔽配線の仕込みを行う際は、他の機器との離隔距離も注意せねばなりません。

注意

配線時は照明やスプリンクラーヘッド等がまだ無い状態であることが多い為、完成時の状態を頭に入れておかなければ、いざ器具がついてくると消防法上必要となる離隔距離が確保できないという問題が生じ得ます。

事前に他の設備との兼ね合いも図面上で確認する他、各業者の皆様と現場にて打合せをする事で感知器等の取付位置の折り合いをつけていくということが大切です。

おすすめiOSアプリ

iPhoneの純正アプリに“Measure”というものがあるのですが、それが非常に便利で現場で多用しております。スマートフォンのカメラで計測したい箇所をタップするだけで、寸法が分かります。

わざわざ脚立に上り、メジャーを用いて長さを図らずに済むようになりました。特に業界関係者の皆様、オススメです。

露出配線の場合

主に既設建物でコンクリート打ち放しの天井や、天井裏にアクセスできない建物の場合は隠蔽配線をする事が困難である為、露出配線といった壁や天井などに沿うように電線を引いていく方法で配線して感知器を設置します。

主に電線を収納する為の“モール”というものを使用して設置していきます。電線を沿わせるルートにモールを固定していき、そこに電線を入れていくようなイメージです。

モールにはプラスチック製の物の他、金属製のメタルモールと呼ばれるものもあります。

色も様々あり、現場でより目立たない色味、材質が採用されることが多いです。基本的には電線を敷設するルート全てにモールを貼る必要があるので時間がかかります。

一戸建てにも自動火災報知設備を!?

近年、消防用設備の設置義務が生じていない既設の一戸建てを活用し、民泊や福祉施設を営業するケースが急増しています。その際は露出配線になることが多いです。

今回は自動火災報知設備のうち“スポット型の感知器”について言及させて頂きました。

皆様が日ごろ目にされる天井についた「火災報知器」について、その種類や施工方法等の背景を知ることによって少しでも見方が変わったり、想像するきっかけになれば幸いです。