消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まない理由を聞いた結果
青木防災さんのブログでオンライン化のこと書いていますが、なぜこれが進まないか、こちら側の意見を記事に載せて全国のケツ重い自治体に見せつけてやりたい。
(うちもです。)
— かずぺん余命15年チック症のライダー (@kazupen_is_dead) October 23, 2022
現役消防士さん直々にブログの内容について触れて頂けるとは大変光栄です!!
顔を出してるのは自分の意見をこそこそ言うような人間にはなりたくないから。
消防士の働く環境をよくしましょう。
それでは実際にかずぺん様に「なぜ消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まないのか?」を伺い、頂いた回答を紹介させて頂きます。
目次
消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まない理由
結論「紙の台帳に頼っているうちはオンライン化は進まないのではないか」というのが、かずぺん様の考えです。
消防署は、管轄エリア内にある防火対象物(消防用設備等の設置・点検義務のある建物)の情報を、それぞれの防火対象物ごとに1つの冊子(=紙の台帳)にまとめて保存しています。
オンライン化の方法3つ
まず、オンライン化には主に以下の3つの方法があることを抑えておきましょう。
- 総務省消防庁がすすめるオンライン化(※ぴったりサービス絡み)のもの
- LoGoフォームを利用したもの
- 単純にメールにデータを添付したもの
①ぴったりサービス(総務省消防庁)のオンライン化
まずオンライン化する一つ目の方法として、IFCAA2022横浜のシンポジウムでも大々的に紹介されていた「ぴったりサービス」によるものが挙げられます。
- 総務省消防庁がすすめるオンライン化(※ぴったりサービス絡み)のもの
- LoGoフォームを利用したもの
- 単純にメールにデータを添付したもの
②LoGoフォームを利用したもの
次にオンライン化する二つ目の方法として「LoGoフォーム」を利用したものが挙げられます。
- 総務省消防庁がすすめるオンライン化(※ぴったりサービス絡み)のもの
- LoGoフォームを利用したもの
- 単純にメールにデータを添付したもの
LoGoフォームとは‥株式会社トラストバンク社が「LGWAN-ASPサービス」として提供している自治体職員が電子申請や申込予約・アンケートなどのフォームを作成・集計し、一元管理できる自治体専用の「デジタル化総合プラットフォーム」です。
一気に置き去りにされたよ!
【補足①】LGWANとは
まずLGWANとは、「Local Government Wide Area Network」を略した言葉で、地方公共団体を相互に接続する行政専用ネットワークのことです。
※読み方は「エルジーワン」です。
【補足②】LGWAN-ASPとは
「LGWAN-ASP(読み方:エルジーワン エーエスピー)」とは、LGWANを介して各種行政事務サービスを提供するものです。
㊙LoGoフォームの課題2つ
この官公庁のネットワークであるLGWAN系に入れるLGWAN-ASPサービス「LoGoフォーム」について、かずぺん様は以下の課題2つを挙げられていました。
- インターネット系に出ていくには暗証番号を入れないといけない
- 一定時間(※自治体よって異なるかも)が経過したら自動で切断される
③メールにデータを添付したもの
オンライン化する三つ目の方法として「メールにデータを添付」する単純なものが挙げられます。
- 総務省消防庁がすすめるオンライン化(※ぴったりサービス絡み)のもの
- LoGoフォームを利用したもの
- 単純にメールにデータを添付したもの
オンライン化の弊害
オンライン化の方法として挙げられた「②LoGoフォームを利用したもの」と「③メールにデータを添付したもの」について、かずぺん様より以下の弊害2つが挙げられました。
- 消防の受付印を押したものを対象物の関係者に返せない
- 消防で書類を印刷する手間や費用が発生する
また、前述した「①ぴったりサービス」はインターネット系での作業になる為、官公庁のネットワークであるLGWAN系での作業と比べると作業効率も落ちてしまうとのこと。
続いて、オンライン化を進める上での課題について触れていきます。
オンライン化を進める上での課題3つ
オンライン化を進める上で、かずぺん様より以下の課題3つが挙げられました。
- オンライン化の担当者不足
- 独自システムが構築されている消防本部が多い
- 紙の台帳をシステム化する予算が取られていない
課題1⃣ オンライン化の担当者不足
かずぺん様が所属する○○市では、かずぺん様たった一人のみがオンライン化の担当者となっているそうです。
課題2⃣ 独自システムが構築されている消防本部が多い
課題3⃣ 紙の台帳をシステム化する予算が取られていない
今般の消防関係書類の届出オンライン化は、紙の台帳をシステムに全て入力することが前提となります。
そんなん現場のオンライン化の担当者になった方めっちゃハズレってか、膨大な量の業務負担を抱えさせられることになりますやん!
よって消防関係書類のオンライン化は、現場に膨大な量の負担がかかる前提で無理やり運用されようとしている実態があるのです。
オンライン化の今後
かずぺん様が最初に紹介したツイートに続き、以下の内容も投稿されておりました。
なお、これに関して私自身本部の担当でしたが、いろいろあって上司に『今後ははやりません』とはっきり申しました。
個人的には電子媒体での提出以外認めない世の中にしたいですが、『いろいろ』あってムリと判断し、うちの本部では完全にとまりました。
僕に電話かけてきた総務省の方、みてますかー
— かずぺん余命15年チック症のライダー (@kazupen_is_dead) October 23, 2022
オンライン化の担当者であった、かずぺん様は「電子媒体での提出以外認めない(≒効率よく防火管理ができる)世の中にしたい」意向をお持ちの熱い消防士さんです。
しかし、かずぺん様がムリと判断して『今後は、やりません』と上席の方に伝えて滞っている現状です。
意志ある者が損をする格好になっており、このままでは消防本部によってオンライン化の格差が生じてしまいそうです。
かずぺん様、お忙しい中ご対応頂きまして有難う御座いました!
【P.S】予防の時代
かずぺん様のタイムラインを拝見させて頂きましたところ、以下のツイートを見つけました。
救急係長が予防技術検定(査察)を受けようかなと言っていた。素晴らしい。
消防士になりたいやつ、これからは予防の時代やで。
— かずぺん余命15年チック症のライダー (@kazupen_is_dead) October 25, 2022
>> 予防技術検定Web勉強会
※LINEオープンチャットはLINE株式会社による無料サービスです。
※いつでも参加・退出できますので、お気軽に。
※共同管理人をしている現役消防士は、かずぺん様ではありません。
【✍追記】大阪市消防局の規制課で電子申請(オンライン化)について伺った結果
別ブログにて、大阪市消防局予防部規制課の担当者(※匿名)様にも電子申請(オンライン化)について話を伺っています。
併せて、ご確認下さいませ。
まとめ
- 現役消防士兼YouTuberのかずぺん様に「なぜ消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まないのか?」を伺い、頂いた回答を紹介した。
- 「紙の台帳に頼っているうちはオンライン化は進まないのではないか」というのが、かずぺん様の考えであった。
- 紙の台帳を電子データ化するために要するリソースが確保されていないことが、消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まない理由となっていた。