大阪市消防局の規制課で電子申請(オンライン化)について伺った結果

先日、現役消防士兼YouTuberのかずぺん(某消防署予防課勤務)様より話を伺った ❝消防関係書類の電子申請(オンライン化)が進まない理由を聞いた結果❞ を更新しました。

その後、大阪市消防局にて偶然オンライン化についての研修があった為、規制(ルール)を作る側である大阪市消防局予防部規制課の担当者(※匿名)様にも話を伺いました。

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

お久しぶりですタマスケさん。

オンライン化の件で聞きたいことあるなら、僕担当で噛んでるので直接聞きに来てくれたら良いですよ。

電話でも良いですし。けど、質問をまとめて来てくれた方が答えやすいですね。

手探りなのは間違いないので、今のうちに、他の市町村とかの情報だとか、要望だとか、言いたいことあるなら言っとかないともったいないと思います。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
激アツな展開ですね。
早速お伺いさせて頂きました。
ちなみに『お菓子とかの差し入れとか立場的に受け取り難しいですか?タマスケのお菓子あるので宜しければと思いまして‥』とお伝えしたところ以下の回答を頂きました。

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

ありがとうございます。ですが受け取れません。笑

なかなか一企業と、そういうことはできません。

あと発信する際は絶対に名前とか出さないで下さい!

この人メッチャ真面目やわ!
大阪のオバチャンに飴ちゃん🍬もらうのも断るタイプやわ!
たぶんプライベートの食事でも割り勘で1円多く払うタイプの人ですわ。(※ド偏見)

では冗談はこれくらいにしておいて、さっそく超有意義であった本題に移ります。

【まえがき】予防部 規制課とは?

大阪市消防局の予防部規制課では、総務省消防庁から下りてきた運用通知を大阪市通知として『大阪市は、こうします‥』とルールの大枠から市町村で取り扱う基準に加工して各消防署へ渡す部署になります。

現場(所轄の消防署)とは、また違った視点で予防行政を見るポジションの方です。
今回、オンライン化に関する質問を7つと+α他の質問2つの計9つについて伺いました。

①紙の台帳はどうなりますか?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

もちろん紙の台帳も併用されます。

消防関係書類の電子申請(オンライン化)は、あくまで行政サービスの一環であり、求められている声があるので追加されるだけです。

この紙→データへの移行期間(過渡期)で、いきなり100点は目指せないでしょう。

ただ「届出の手段が増える≒消防職員の手間が増える」ってのは間違いないですね。

しかし手間が増えてもオンライン化が進まないわけではなく、全体の流れとして進んでいきます。

例えば(お隣)堺市とか、いつもそうですが(今回のオンライン化も)早いですよ。

すでに兵庫県姫路市では「維持管理台帳の電子データ化がすべて終わって、予防担当者がタブレット端末を持って消防検査に出ている…」との噂を聞きました。
消防関係書類オンライン化の速度感は「市長」にも依存するようです。
そりゃ市長がオンライン化について積極的に取り組もうとしている市町村だと、消防関係書類のオンライン化に必要なリソースが割かれやすいですよね。

②ぴったりサービスは導入できそう?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

大阪市は独自の大阪市行政オンラインシステム元々あるので、ぴったりサービスは導入しないですね。

独自のシステムが無かったところだと、ぴったりサービスで電子申請を受け付けることになります。

総務省のシステム(ぴったりサービス)or その他(独自のシステム)って感じですね。

ちなみに大阪市と(ほぼ)同じというか似た独自システム使ってるところありますよ。例えば神戸市のシステム見て下さい。

「ぴったりサービス」とは

ぴったりサービスとは‥総務省が提供する、自治体ごとの申請や届出などの行政手続きをオンラインで検索・書類作成および電子申請することができるシステムのこと。

参考ぴったりサービスについて

IFCAA横浜2022のシンポジウムで総務省消防庁予防課の稲垣さん(電子申請推進専門官)の話聞いた時は、全部ぴったりサービスで行くみたいなニュアンスで聞こえてたけど違うんですね。
もともと準備できていた消防本部と、そうでない消防本部ではスタート地点が違いそうです。
既存の独自システムと連携しなきゃならんので一概に準備していたからといって有利とも言えませんが。

③担当者リソースは確保できている?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

ウチ(大阪市消防局)人、多いですからね。

各課に2名ずつ位(電子申請担当者が)います。

規制課だけで8名いますかね。届出が多いんで。

担当者の数、かずぺん様の消防本部と比べるとケタ違いに大阪市消防局の方が多いので‥そりゃオンライン化に有利やろって思いました。
やりたくても(オンライン化の担当者不足)で着手できない市消防本部が多いって話でしたから、ここのスタートラインが違い過ぎてオンライン化格差できてしまいそう。
でもアークリード㈱の尾阪社長が『田舎の方がオンライン化が進んでる‥』って話してたから、ごっつぅ消防署まで距離ある田舎なんかはゴリ押しでオンライン化されていくのかも。

④独自システムとの連携は?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

独自システムとの連携は(今のところ)全然できてないですね。

外部に繋がっていないPCがいっぱいありますし、そもそもPC自体が一人一台ないのでモノも足りてないです。

ぴったりサービスを導入する(≒独自システムが無い)消防本部も、おそらく同じ状況だと思います。

予算がない中で、ある物を使って進めていかなきゃなりません。

どことも予算との戦いですよね。
『青木防災㈱さんが寄贈してくれたら‥』って仰ってました。
いやウチもスペック低くて問題になってるPCあるから、まず自分達から‥って状況。

⑤オンライン化≒効率UPになりそう?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

(効率UPに)なるようにはしたいです。

届出を提出する手段が増えるということは、受けてからすると確実に仕事は増えますからね。

今は道具が足りていない状況ですが、今後はPCが一人一台になったりと徐々に環境が整備されていくはずなので、いずれ効率UPになると思っています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)って、そもそも便利になる(≒効率・生産性UP)が前提の話ですからね。
市民・業者側は選択肢が増えるので楽ですが、それらを受け付ける現場の消防署で働く予防担当者様は‥ヒエッ!

⑥(電子申請)担当者はキツい?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

ずっと業務が山盛りなので、もともと(大阪市消防局の勤務は)キツいです。

期日がある業務(消防同意や各署からの進達および特例申請内容の確認)をスキマ時間のルーティンワークにしつつ、オンライン化やマニュアル作成および会議に参加などしているので忙しいですよ。

広ぉ~いオフィスで皆さんデスクに向かって色々されてましたね。
まずノートパソコンで仕事するのがキツいと思っちゃう私、民間でしか働けませんでした‥。

⑦これから(電子申請は)どうなりそう?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

国から4月にはオンライン化するように言われているので、そこをゴールに各消防本部は走っています。

大阪市消防局管轄だと11月から1部でいい届出(消防用設備点検報告書など)は電子申請がスタートします。

4月には大阪市も着工・設計届を含む14手続きがオンライン化される予定です。

ある道具だけで電子申請への対応を進めていかなければならないので、最初は形だけ対応している…といったものになるかもしれませんが徐々に改善されていくでしょう。

大阪市は出遅れはするが、やり始めたら早いって傾向もありますし。東京消防庁とかデカ過ぎて大変らしいですが…。

ただ例えば青木防災㈱さんは平野消防署が近いですよね。オンラインで届出類が申請できたとしても、手で持っていきませんか?

いちいちシステムにログインして‥ってやるより、平野消防署に届出を持って行った方が早いってパターンもあるでしょう。

ですからオンライン化が進んだとしても、やはり冒頭で述べた通り紙媒体は(しばらく)併用されるでしょうね。

結論、紙媒体でも受け付けてもらえるので『何でもかんでも電子化されたら困る‥』って脳ミソ後期高齢者な方々も、ご心配なさらず!
とりあえず業者は積極的に電子申請、活用していきましょうね!
使われれば使われる程、ニーズがあると判断される程、改良されるスピードも上がるでしょうから。

以下、消防関係書類のオンライン化の質問をしたついでに質問させて頂いた話です。

⑧閉止弁の設置が義務化されて立入検査は増える?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

そりゃ増えますよ!

どの建物に二酸化炭素消火設備が、どのように設置されているかの状況把握だけでも相当な労力が必要でしょう。

ただ閉止弁の設置義務化について、まだ国の運用通知が下りてきてないんですよ。

ですから『大阪市は、こういった運用で…』って話になっていない。遅れています。

京都の基準、進んでますので一度探してみて下さい。

ん‥これ、ですかね?

参考既存の二酸化炭素消火設備に関する遡及内容について_京都市

標識の文言とか詳細が決まっているものがあるのかと思っていました‥これからどうなるか要確認ですね!

⑨予防技術検定の有資格者と受ける人は何名?

匿名(消防司令補)

大阪市消防局予防部規制課

大阪やと『予防技術検定、持ってるから何やねん‥』って感じです。

予防課に一人いてます(※各予防課に一人、有資格者がいないとならないルールです)が、大阪市は特に「予防技術資格者」のバッジとかないですし。

あと予防技術検定の内容って、あくまで基礎知識ってだけで実際の業務に直結しない(若干違う)部分あるんですよね。

例えば消防法 第5条って大阪だと条例で運用されてるんですよね。つまり消防法とは別の規定なので取り扱いが異なるんですよ。

ですから(予防技術検定で)覚えた知識が使えないってパターンも多々あるんですよ。

勉強のモチベーションを保つ機会としては、予防技術検定に挑戦するのはいいですけどね。

キャリアアップに直結するかと言えば、少なくともウチ(大阪市消防局管轄)では、そうはなっていないかと。

ちなみに、もちろん匿名(消防司令補)さんも予防技術資格者です。
ご自身が体験された結果の話なので信ぴょう性ありますね。
もっとガンガン予防技術検定に挑戦する方が増えればなぁ‥と思っています。
今って予防課の所属じゃない消防士も、今後のキャリア考えて「予防技術検定」受ける人が増えてるらしいよ。
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