誘導灯の配線工事
目次
誘導灯の電源
非常口の場所を示す緑色の光源である誘導灯の各機器にはVVFケーブルが接続されており、AC100Vの電力が供給されています。
この電源ですが、“専用回路”で分電盤内に設けられており、そこから各機器に電力を供給しています。
消防用設備等は火災などの有事の際に作動しなければなりませんから、例えばコンセントの回路と同じにしてしまうと、当該回路に繋がった機器が壊れて短絡してブレーカーが落ちた際に、消防用設備等も道連れになり使用不可になってしまいます。
それでは意味がありませんから、基本的に設備毎に単独のブレーカーを設けて専用回路にする事が規定されています。
また、分電盤内のブレーカーには設備毎の名称を明記すると共に、ハンドルロックという赤いストッパーでブレーカーが落ちないように固定されています。
電源ケーブルの隠ぺい配線
新設建物及び既設建物で天井裏や壁面内にアクセスできる箇所は、天井裏に電源ケーブルを敷設する隠ぺい配線とします。
誘導灯の専用となるブレーカーから機器への配線ですが、一般的な照明やコンセントへの配線と同様にVVFケーブルを敷設するのみです。
もし、既設建物で点検口等の天井裏を覗く手段が無くても、図面や他の埋込照明器具を外す等を行った結果、天井裏にスペースがあると分かれば新たに点検口を作成することもあります。
新設建物への施工時には、まだ天井が貼られていない段階で配線を敷設できるので作業自体は簡単になります。ただ、天井裏に電線を転がしておくという事が出来ない為、配線固定用に寸切りボルトや市販の専用器具を天井面に固定し、電線を巻いておきます。
後々の工程で天井が貼られると、これらの電線は全く見えない様になります。実際に建物の天井裏を覗かれた際は、そこにある電線の量に驚かれる事でしょう。
電源ケーブルの露出配線
天井・壁面内に隠蔽できなければ、露出配線で機器まで電源ケーブルを持っていきます。
誘導灯機器を主に室内に設置する場合はケーブルモールを用いて、屋外等に設置する場合は金属管やPF管等を用いて施工するケースが多いです。
露出配線の場合は、ひたすら壁面や天井面に沿わせてモールや配管を固定し、その中に電線を敷設していくのみです。
最短となる経路を探すだけでなく曲がり角なども減らした方が作業しやすい為、事前にルートを見極める力も大切になってきます。
誘導灯の取付け
現行のコンパクトなLED誘導灯は、主に以下の4つより構成されます。
- 非常用バッテリー
- カセット式ランプ
- 誘導灯機器本体
- 誘導灯用パネル
固定金具まで配線
設置箇所まで電源ケーブルを敷設できたら、③誘導灯本体機器に付属している固定用金具中央部に電線をくぐらせて設置します。
結線
次に、電線先端部分被覆を剥いて、機器内部に「白・黒」と書かれた接続口へ挿します。
バッテリー取付け
その後、③の誘導灯機器に①の非常用バッテリーをカチッと取付け、④の誘導灯用パネルを入れ、①のカセット式ランプを差し込めば誘導灯の設置完了です。
設置後には本体の点検スイッチを押すことによる確認及び専用ブレーカーを落として常用電源を遮断した状態でも点灯するか、しっかり試験を行いましょう。
今回は誘導灯の配線と機器取付けに関して解説しました。
設置されている機器を目にすることが多い消防用設備等の一つである誘導灯に対して、想像を膨らませるきっかけとなれば幸いです。
まとめ
- 非常口の場所を示す緑色の光源である誘導灯の各機器にはVVFケーブルが接続されており、AC100Vの電力が供給されていた。
- 消防用設備等の施工を生業の一つにされる際は併せて電気工事士の免状を取得することも不可欠であった。
- 誘導灯という設備の扱いは少々ややこしく、政令上で誘導灯は消防用設備等の一つとして規定されていますが、その工事着手に際する届出は法令上、甲種消防設備士でなくても行える事となっていた。