総合盤とは?【音響ベル・表示灯・発信機の三つの機器を収容した箱】
目次
総合盤を構成する3大要素
総合盤というと主に 「発信機」「地区音響装置(以後、音響ベル)」「表示灯」の三つの機器を収容したボックスのことを指します(写真1)。
分割して設置することもありますが、現在は総合盤の形で施工する事がほとんどです。その理由も併せて言及していきます。
発信機の外観
発信機は「火災報知器」と聞いて一般の方が最初に思いつくものといっても間違いないでしょう。
使用方法は中央の「強く押す」と記されたボタンを押すだけ。
(※一般的に、消防署へは通報されません。)
ちなみに発信機にはP型、T型、M型の3種類がありますが今日ではP型を設置することが一般的です。(第1表)
1級 | 2級 | |
銘板 (火災報知機の表示) |
◯ | ◯ |
押し釦 (ボタン) |
◯ | ◯ |
保護板 (「強く押す」と記載されたアクリル板) |
◯ | ◯ |
応答ランプ (押した際に光る赤色灯) |
◯ | ✕ |
電話ジャック | ◯ | ✕ |
P型には1級と2級があり機能をまとめると第1表のようになります。
音響ベル
総合盤の網目状になっている部分の中には音響ベルがあり、火災信号を受けると鳴動します。
非常放送設備が設置されているような比較的大きな建物の場合は、総合盤の中の音響ベルを省略できるケースもあります。
音声で警報を発する際は92dB以上、音響ベルの場合は90dBで発報するように定められています。
表示灯
発信機の位置を示す赤色灯のことです。
最近になり表示灯は「フラット型 」や「リング型」等の形が変わったものが普及し始めています。
フラット型の表示灯
リング型の表示灯
漢字表記の際に火災報知「器」なのか、火災報知「機」なのか迷ったことはありませんか?
正しくは火災報知機ですが、「器」の方を使用されているケースも散見します。どちらが厳密な正解というのは決められていませんが、メーカーのHPなどをみると住宅用は火災警報器としていることが多いようです。
「機」について漢字の使い分けを調べてみると精密な構造を持ったものを指す際に用いられ「器」は単純な構造をしているものに用いられる漢字であるようです。感知器は「器」であるし発信機の構造は精密というほどでもない。
「機」が使われることに少々違和感がありませんか?
総合盤内にある機器の仕組み
発信機の仕組み
発信機の仕組みはとても単純。ボタンを押すと接点が閉じる単純な構造のスイッチです。
配線方法における感知器との違いは、電圧線+(L:ライン)と共通線-(C:コモン)に応答線+(A)が加わるところです。
自動発報の場合は、故障などによる非火災報の可能性がありますが、手動の発報の場合は人によって火災と判断されたものであるためです。
そのため、感知器による自動発報では蓄積時間という一定時間、火災発報を保留する機能がありますが、発信機による手動発報では蓄積時間なしですぐに火災発報するようになっています。
音響ベルの仕組み
音響ベルは火災発報時のみ電気が流れ、写真中の鉄の棒が上下運動してベルを叩く事でジリジリ音が鳴るような仕組みになっています。
表示灯の仕組み
表示灯も単純な+と-の二つからなる電灯です。
ただし機器によっては、電圧の大きさが異なることがあります。
実際に自動火災報知設備が作動したからと言って消防署に連絡が行くことは通常ありません。
音響ベルはあくまで利用者に火災を感知したことを報知するためのものであり、実際に火事になっていた場合は手動で119番通報する必要があります。
例外的に病院や福祉施設では、自動火災報知設備と連動して消防署直通の火災通報装置が起動するようになっています。
総合盤内機器の設置基準
総合盤は発信機・ベル・表示灯を同じ位置に設置する機器ですが、それらの設置基準は若干それぞれ異なっています。
発信機の設置基準
発信機は多くの人の目につきやすく荷物などを置かれる恐れのない場所に設置しましょう。
そして重要なことは以下の2点に気を付けることです。
- 発信機の設置高さは、床面から0.8m以上1.5m以下の位置に設ける
- 各階のどの部分からでも発信機までの歩行距離が50m以下となるように設ける。
音響ベルの設置基準
音響ベルはその階の各部分から一つの音響ベルまでの水平距離が25m以下となるように設けることと定められています。
つまり、発信機の設置基準が「歩いて」50mで音響ベルの設置基準が「正味で」25mですから基本的には25m以内の間隔で設置計画すれば同じ位置でも問題が生じにくいわけです。
それに加えて、建物の構造上、警報音が聞こえにくいような部分がある場合などには、追加で音響ベルを設置することもあります。
表示灯の設置基準
表示灯は、赤色の灯火で、取付面と15°以上の角度となる方向に沿って10m離れたところから点灯していることが容易に識別できることが消防法上で規定されています。
近年、デザインが改革されたフラット型の表示灯やリング型の表示灯も下記の規定に則ったものです。