防火対象物点検の特例認定申請に必要な書類3つ【立入検査項目も解説】
防火対象物点検報告には「防火対象物の管理権原を有する者の申請によって消防長または消防署長が検査をした結果、特例要件に適合すると認められた防火対象物については3年以内に限り点検報告が免除される」特例制度があります。
消防署に提出する「防火対象物点検報告特例認定申請書」の中身について解説していきます!
防火対象物点検報告特例認定申請書に添える書類について、実際に現場にて防火対象物点検を実施している防火対象物点検資格者が順番に解説していきます。
目次
防火対象物点検の特例認定に必要な書類3つ
防火対象物点検の特例認定申請に必要な書類は大きく以下の3つです。
- 防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)
- 履歴事項全部証明書(管理を開始した日を確認できるもの)
- 防火管理維持台帳
上記3つのみですが、特に3⃣の防火管理維持台帳についてはボリュームがある書類である為、常日頃より作成および維持管理しておかなければ揃えるのに難儀します。
防火対象物点検の特例認定申請書
大阪市の場合は防火対象物点検の特例認定について大阪市消防関係例規の「防火対象物点検報告及び防災管理点検報告に係る事務処理要綱」に規定されています。
step1大阪市HPの「大阪市消防関係例規データベースはこちらから」をクリック
step2「第4編 予防」の「第1章 防火指導」をクリック
現在22番目に「防火対象物点検報告及び防災管理点検報告に係る事務処理要綱」があるので確認してみましょう。
防火管理者および防火対象物点検資格者は、防火管理を担当する建物がある市町村の例規にて防火対象物(および防災管理)点検に係る事務処理要綱を確認してみて下さい。
1⃣ 防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)
- 防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)
- 履歴事項全部証明書(管理を開始した日を確認できるもの)
- 防火管理維持台帳
まずは防火対象物点検報告特例認定申請書の表紙について、以下の記入例をご参照下さいませ。
こちら提出する際は十中八九お抱えの防火対象物点検資格者と二人三脚で作成すると思いますのでアドバイス仰ぎまくって下さいませ。
強いて言えば防火対象物点検報告特例認定申請書の「消防法施行令 第2条を適用するもの」について初見だと何の話か分からないと思いますので以下に補足しておきます。
同一敷地内にある建物で防火管理者も同じであることから、一つの防火対象物であるとみなされているもの。
同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である別表第一に掲げる防火対象物が二以上あるときは、それらの防火対象物は、法第八条第一項の規定の適用については、一の防火対象物とみなす。
続いて、防火対象物点検報告特例認定申請書に記入した「申請者が防火対象物の管理を開始した年月日」を確認するための書類について説明していきます。
2⃣ 履歴事項全部証明書
- 防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)
- 履歴事項全部証明書(管理を開始した日を確認できるもの)
- 防火管理維持台帳
防火対象物点検報告に係る事務処理要綱上では「申請者が防火対象物の管理を開始した年月日」を確認するための書類を “防火管理開始証明書” として以下のものを例に挙げています。
第9条 (4) 防火管理開始証明書は、不動産登記簿謄(抄)本、登記事項証明書、賃貸借契約書又は営業許可書等、管理を開始した日を確認できるものであること
この防火管理開始証明書として、お近くの法務局で取得できる「履歴事項全部証明書」を添えて下さい。
しかし、それは消防署予防係さんの指導を誤解していただけで履歴事項全部証明書のみあれば事足りるものでした。
取得に時間だけでなく正味の費用も要する書類ですから、くれぐれもお間違いなく。
3⃣ 防火管理維持台帳
- 防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)
- 履歴事項全部証明書(管理を開始した日を確認できるもの)
- 防火管理維持台帳
防火管理維持台帳とは建物の消防関係書類一式をまとめて保管しておくための台帳のことで、この維持台帳に定期点検の報告結果をまとめて記録しておくことが消防法施行規則 第31条の6などで規定されています。
防火管理維持台帳の仕様について特に指定はありませんので、ファイル等を用意して各々作成することが認められています。
しかし、その中身として編冊しておく書類は消防法施行規則 第4条の2の4にて以下の通り規定されています。
【防火管理関係】
- 甲種防火管理再講習の修了証の写し(消防法施行規則 第2条の3 第5項)
- 防火管理者選任(解任)届出書の写し(消防法 第8条 第2項)
- 消防計画作成(変更)届出書の写し(消防法施行規則 第3条 第1項)
- 共同防火管理協議事項(変更)届出書の写し(消防法施行規則 第4条 第1項)
※統括防火管理者が選任されている場合のみ
【防火対象物定期点検関係】
- 防火対象物点検報告書の写し
- 防火対象物点検報告特例認定申請書の写し(消防法施行規則 第4条の2の8 第2項)
- 特例認定通知書(もしくは不認定通知書)
【消防用設備等点検関係】
- 消防用設備等設置届書の写し(消防法施行規則 第31条の3 第1項)
- 消防用設備等検査済証(消防法施行規則 第31条の3 第4項)
- 消防用設備等点検結果報告書の写し(消防法施行規則 第31条の6 第3項)
【消防計画に基づいて実施される事項】
- 防火対象物についての火災予防上の自主検査の状況
- 消防用設備等の点検および整備の状況
- 避難施設の維持管理の状況
- 防火上の構造の維持管理の状況
- 定員の順守その他収容人員の適正化の状況
- 防火上必要な教育の状況
- 消火・通報および避難訓練の状況
- 増築・改築・移転・修繕または模様替えの工事中の防火対象物における防火管理者またはその補助者の立会いその他火気の使用または取扱いの監督の状況
- 大規模な地震に係る防災訓練並びに教育および広報の状況(※強化地域に所存する防火対象物に限る。)
【防火管理上必要な書類】
- 圧縮アセチレンガス等の貯蔵または取扱いの開始(廃止)届出書
- 防火対象物使用開始(変更)届出書
- 炉・ボイラー等設置(変更)届出書
- 発電設備等設置(変更)届出書
- (その他の「火を使用する設備等」の設置届出書)
- 少量危険物等貯蔵・取扱(変更・廃止)届出書
- 消防用設備等(特例承認・除外)願出書
- 立入検査結果通知書
防火管理維持台帳に編冊する書類クッソ多くて二回ゲロ吐いたわ。
‥ってアンタどんな感じの電子データで、どこに保管すりゃエエか分からへんやん。
上記の書類を全て添えた防火対象物点検報告特例認定書を所轄消防署に提出後、現地の立入検査(防火対象物点検特例認定検査)をクリアすれば晴れて特例認定GETとなります。
防火対象物点検特例認定の検査項目
防火対象物点検報告及び防災管理点検報告に係る事務処理要綱 第11条(防火対象物点検特例認定の申請に係る検査)にて以下の通り、特例認定における立入検査について規定されています。
署長は、防火対象物点検報告特例認定申請書を受理したときは、申請のあった防火対象物に対し、次に定めるところにより防火対象物点検特例認定の申請に係る検査(以下「防火対象物点検特例認定検査」という。)を行わなければならない。
- (1) 防火対象物点検特例認定検査は、別に定める防火対象物点検特例認定検査チェックリストにより行うこと
- (2) 防火対象物点検特例認定検査は、防火対象物点検チェックリストに掲げる検査項目のうち、当該防火対象物に該当する項目について、防火対象物点検チェックリストの判定基準により行うこと
- (3) 防火対象物点検特例認定検査は、書類確認及び立入検査により行うこと
- (4) 書類確認は、検査対象物関係資料、システム等を活用すること
- (5) 立入検査を完了したときは、検査規程に基づく処理を行うこと
2 防火対象物点検特例認定検査においては、判定基準に適合しない検査項目を認めた場合は、その時点で当該検査を終了することができるものとする。
よって防火対象物点検の特例認定を受けるには現地の立入検査が必須です。
現場からは以上です!
まとめ
- 防火対象物点検報告には「防火対象物の管理権原を有する者の申請によって消防長または消防署長が検査をした結果、特例要件に適合すると認められた防火対象物については3年以内に限り点検報告が免除される」特例制度があった。
- 防火対象物点検の特例認定申請に必要な書類には「防火対象物点検報告特例認定申請書(表紙)」「履歴事項全部証明書(管理を開始した日を確認できるもの)」「防火管理維持台帳」の3つがあった。
- BOSAIメンバーのサービスによってWeb上で防火管理維持台帳を保存し、かつ防火管理のプロである青木防災㈱と共同で管理できる時代となっていた。