火災通報装置とは?設置基準についても解説!
目次
火災通報装置って何?
火災通報装置とは119番直通の専用電話のことで、消防法上でその設置義務が定められています。
火災通報装置は、本体と専用受話器で構成されています。
火災通報装置はどこにある?
火災通報装置の設置基準については、病院や老人ホーム及び地下街等においては原則的に全て設置しなければなりませんが、その他の用途については延べ面積が500㎡・1,000㎡以上と付加条件があり、設置されていない建物も多いです。
そして設置される場合は、その建物で常時人がいる防災センター等に該当する部屋、それに該当する役割の部屋がなければ、人が通って目に付きやすい共用部分に機器を設置します。
人が常駐するような部屋が建物内に複数ある場合は、その一方には遠隔起動装置として専用受話器のみが設置されます。
その際に、共同住宅の用途では延べ面積1,000㎡以上から設置義務が生じる為、火災通報装置が設置されていなかったが、民泊の用途に変更されたことで延べ面積500㎡以上から火災通報装置の設置が必要になり、後付けするという案件が一時的に多発しました。
火災通報装置の回線
火災通報装置は119番直通の“電話”ですから、もちろん電話回線が繋がっています。
その電話回線も火災通報装置“専用”のものを用いる必要がある為、火災通報装置の設置が必要な場合は基本的に新たに電話回線をひいてくる電話工事が伴うケースが殆どです。
電話回線の工事手配は建物の所有者様でないと行えない為、事前にお客様にその旨を伝えて電話回線をひいてもらわなければ施工完了できないのが一つ厄介な所です。
しかし、インターネットが普及した現在、そもそも固定電話を置く予定がない建物や、ひかり電話等のIP回線(通信回線)が用いられる建物が多い為、最終的にはアナログ回線が無くなると言われています。
その変化に伴って火災通報装置もIP回線に対応した機器が発売されているのですが、問題はIP回線自体には電気が印加されていないものがあることです。
建物内の停電時を想定すると、アナログ回線には電気が印加されているので、回線自体は活き続けられますが、例えば光回線は停電に伴って使用できなくなってしまいます。
その為、IP回線を用いた火災通報装置には停電時も作動できるよう専用のバッテリーを設けてやる必要があります。
ところが、そのバッテリーを設置するとなると高額になってしまう為、現在もアナログ回線を用いた火災通報装置が設置され続けています。
火災通報装置の手動・自動起動方法
火災通報装置を手動で起動させるには、火災通報装置本体もしくは専用受話器にある火災通報ボタンを押すのみです。
また、病院や老人ホーム及び地下街等の用途にあっては自動火災報知設備の感知器発報と連動して自動で起動するようになっています。
訓練時や消防用設備点検時等に感知器を点検した際に火災通報装置が連動しては困るので、火災通報装置と自動火災報知設備が連動している場合は「連動停止スイッチ」という文字通り連動を停止させるスイッチを設けます。
後述しますが、火災通報装置の起動時には自動音声が読み上げられてその後に消防の通信指令室から専用受話器に電話がかかってくるという一連の流れが自動で行われます。
この時に自動火災報知設備の誤作動であれば、かかってきた電話にてその旨を通信指令室の方に伝えればいいのですが、自動火災報知設備のベル等の音響に加えて、音声誘導・点滅機能付き誘導灯の『ピンポーン、非常口はこちらです』という爆音が至る所で鳴り響いている為、当該建物にいらっしゃる方はパニック状態になっており冷静な対応が難しい事もしばしば…。
火災通報装置の自動音声
火災通報装置が作動し119番通報された際には、まず自動音声が流れて建物の名称や所在地などの情報を消防署に知らせます。
その自動音声情報が記録されているのが火災通報装置専用の「ロムパック」というものであり、火災通報装置1台につき1つ備わっています。
このロムパックに音声を吹き込んでもらう為に、事前に所轄消防署と相談して決定した通報内容を記した用紙をメーカーへ提出し、一つずつ音声を吹き込んで記録してもらいます。また、音声ロムパックに吹き込むべき情報は、所轄消防署によって若干異なります。
この時代に全て人が吹き込んでいるという事実に驚きますよね。
また、新築建物ですと物件の住所や名称が中々決まらない事もある為、このロムパックが仕上がる時期はどうしても遅くなりがちです。
火災通報装置での通話
音声ロムパック内の自動音声が流れた後、消防指令室から専用受話器に「プルルルル…」と電話がかかってきます。
その際に火災の状況を伝え、誤作動であればその様に伝えます。
誤作動の際にこの電話に出なければ消防車がきてしまいますので、消防職員さんのお手間を取らせない為にも、特に火災通報装置のある建物にいらっしゃる方々には専用受話器にかかってきた電話には出るという事を頭に入れておいていただければと思います。
ところが民泊ブームであった大阪市内にあっては、ロムパックも特需状態になっており納期が通常より長くなってしまっており、お客様から『音声ロムパックまだか聞け』と毎日の様に催促の電話がかかっていた時期があり、思い出しただけでもゾッとします。笑
火災通報装置が誤作動した場合の対処法
火災通報ボタンを誤って押してしまった‥という状況は考えにくいですが、自動火災報知設備と連動して火災通報装置が起動してしまった場合の「復旧」方法についてご紹介させて頂きます。
「通話割込」ボタンを押す方法
火災通報装置本体と専用受話器に、それぞれ「通話割込」ボタンというものがついています。
この通話割込ボタンを、自動火災報知設備と連動して火災通報装置が起動し、まだ消防の通信指令室に繋がっていない段階で押せば、通報を取り消すことができます。
また、火災通報装置起動後に通信指令室と繋がり自動音声が再生されている段階で通話割込ボタンを押すと、自動音声の途中に割り込んで通信指令室の方と話すことができます。
火災通報装置本体内の復旧ボタンを押す方法
step1火災通報装置本体の鍵を開けます
step2内部にあるロムパック下の小さいブルーのスイッチを押す
火災通報装置の機器について解説しました。次回は電源回路や配線方法について紹介していきたいと思います。
まとめ
- 火災通報装置とは119番直通の専用電話のことで、消防法上でその設置義務が定められていた。
- 火災通報装置の設置基準については、病院や老人ホーム及び地下街等においては原則的に全て設置しなければなりませんが、その他の用途については延べ面積が500㎡・1,000㎡以上と付加条件があり、設置されていない建物も多かった。
- 火災通報装置が作動し119番通報された際には、まず自動音声が流れて建物の名称や所在地などの情報を消防署に知らせた。