【過去問】消火器の消火作用|消防設備士乙種6類【消火器の構造・機能】

消火器って、どうやって火ぃ消してるん!?
一般的な粉末ABC消火器は、粉で燃焼面を覆うことによる「窒息作用」と、燃焼反応の進行を妨げる「抑制作用」の2つで消火しています!
ちょ‥ちょっと何言ってるか分かんない。
もっと簡単に誰でも分かるように解説してや‥。
はい!
消火器にも種類が色々あるので、それらにも触れながら消火作用について紹介していきます!

これから消防設備士の試験を受ける方、既に消防設備士の免状を取得して業務に従事されている方も今一度、確認しておきましょう!

ブログ著者の紹介

管理人は消防法に基づく消防設備士および危険物取扱者の免状を共に全類取得している為、消火器の構造・機能もケイスケ・ホンダのサッカー実況くらいマスターしています。

燃焼の3要素が分かれば、なぜ消火器で火が消せるか(≒消火作用)も頭にスッと入ってきますよ!

燃焼の3要素

物が燃えるのは「燃えるもの」と、「空気」と、「きっかけ」の3つで起こります。

①可燃物

この「燃えるもの」とは、固体(木、プラスチック、布など)だけで無く、液体(ガソリン、天ぷら油など)や、気体(天然ガスやLPガスなど)があります。

これをカッコ良く【可燃物(かねんぶつ)】と言います。

②支燃物

「空気」の成分には酸素が含まれており、その酸素が可燃物と激しくケミストリー(化学反応)している状態が”燃える”です。

この酸素の事を、”燃えるのを支えている”という意味で【支燃物(しねんぶつ)】と言い、可燃物とケミストリーしている現象を”酸化反応(さんかはんのう)”と言います。

また、”燃える”では素人っぽいので、これからは”燃焼(ねんしょう)”と言いましょう。 

③点火源

そして「きっかけ」とは、ガスコンロで言えば『カチッ』って鳴った時に出る火花、ろうそくで言えばマッチやライターの火、ガソリンスタンドで言えば静電気の『パチッ』や咥えタバコです。

原始人が木と木を擦りまくって火を起こす時の摩擦熱も含みます。

この「きっかけ」のことをプロっぽく言うと【点火源(てんかげん)】となります。

この【可燃物】と【支燃物】と【点火源】が揃って「燃焼」になります。

逆に言えば「燃焼の3要素」が、どれか一つも欠如すれば燃焼は収まります。

消火方法4つ

次は【可燃物】と【支燃物】と【点火源】のどれかを取り除き、消火する方法を考えてみましょう。

①除去消火

まず、可燃物を無くしてしまう[除去(じょきょ)]です。

これは物理的に可燃物を取り除く事で、小さな木片とかなら、他に燃え移らない所に蹴っ飛ばしたり、ガスなら元栓閉めたりする事です。

ちなみに昔の”め組”とかの火消しは火災現場の周囲の家屋をぶっ壊して延焼を防ぐ「破壊消火」だったようで、これも[除去]の一種です。

②窒息消火

次の方法は、支燃物を取り除く[窒息]です。

”燃焼”も人間の呼吸のように空気(酸素)が無いと活動が続けられないので、それになぞらえて[窒息]で、要するに空気(酸素)を遮断してしまう方法です。

テレビとかで帽子の長いシェフが鉄板焼きの肉に火がついた時に、ドーム型の蓋をパコッと被せてるのを見たことがありますが、あんな感じです。

他には、空気中の酸素の濃度を落とす方法です。

通常時、空気中の酸素の濃度は約21%ですが、何らかの方法で15%以下ぐらいまで落とせば火は消えます。(鉄板焼きドーム蓋の中でも15%残しぐらいで火は消えてます。)

昔からある方法として、砂をかけるのも[窒息]の一種です。

③冷却消火

次は、可燃物を冷やす[冷却]です。

可燃物は物により様々ですが、ある程度の温度にならないと燃焼しません。(木材だと約250℃以上、ガソリンだと約−(マイナス)43℃以上とか‥)

この温度を超えた時に火を近づけると着火します。この温度を[引火点]と言いますが、この温度では燃焼は継続しないので火を離すと、すぐ消えます。

さらに温度が上がり[燃焼点]に達すると燃焼が継続します。

それを踏まえると、燃焼している可燃物を[燃焼点]より冷やせば燃焼活動を継続出来ないので、それを[冷却]と言います。

一番メジャーな方法としては水をかける事です。

④抑制作用(負触媒作用)

さらにもう一つの手段として、先ほどの燃焼のメカニズム説明でケミストリーの話があったと思いますが、酸化反応を化学的に抑制(抑えつける)する[抑制]作用を利用した消火があります。

消火器は、上記の[除去]・[窒息]・[冷却]・[抑制]の4つの方法のうち、[除去]以外の3つの方法のいずれか、または複数利用して消火をします。

消火器種別ごとの消火作用

次に、消火器の種類の違いによる消火の方法を見ていきましょう。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

※試験問題で強化液とだけ書かれていた場合は、こちら(中性)では無い。

水消火器

【水消火器】最も歴史のある消火薬剤である水を使用。とは言っても要するに”水をかけるだけ”なので[冷却]作用のみ。

現在は通常よりも純度が高い”純水”をベースに浸潤剤等が添加された薬剤を使用し電気の絶縁性を高めたタイプが主流。

強化液消火器

【強化液消火器】炭酸カリウムやアルカリ金属塩類などの水溶液が薬剤で使用されており、その化学変化を利用した[抑制]作用と、液体状なので水と同じように[冷却]作用がある。 

※次の”中性”タイプに対して、こちらは”アルカリ性”ということになりますが、その様に表現されることは少なく普通に“強化液”と書いてあればこちらです。

【強化液(中性)消火器 ※ 】アルカリ金属塩類等の主成分に界面活性剤等を添加した薬剤を使用。

霧状で放射することにより泡立ち[窒息]作用と、液体による[冷却]作用がある。成分による”抑制作用”もあると思われますが特に謳われていない。

試験問題で、この”中性”タイプの強化液についての問題は、まだ見たことが無いので今は気にする事は無いと思いますが、実務では目にする機会があると思われるので一応認識しておくと良いです。 

※試験問題で強化液消火器とだけ書かれていた場合は、こちら(中性)では無い。

泡消火器

【化学泡消火器】炭酸水素ナトリウムと硫酸アルミニウムを混ぜた時に発生する二酸化炭素を含んだ泡を放射し、泡の膜で外気を遮断する[窒息]作用と、液体薬剤による[冷却]作用。

【機械泡消火器】界面活性剤を主剤とした薬剤をノズルの部分で空気と混合し、空気を含んだ泡を放射する、泡の膜による[窒息]作用と、液体薬剤による[冷却]作用。

粉末消火器

【粉末(ABC ※ )消火器】粉末状の消火薬剤を吹き付けて、可燃物と空気を遮断する[窒息]作用と、薬剤成分のリン酸アンモニウム等による化学変化を利用した[抑制]作用の2つの効果があります。 

※粉末消火薬剤にはいくつか種類があるが、現在はABC薬剤がほとんど。

二酸化炭素消火器

【二酸化炭素消火器】炭酸ガスを噴射して可燃物の周囲の酸素濃度を下げ[窒息]作用をもたらす。他に、液化したガスが気化する時の”気化熱”で[冷却]作用もあるとされる。

ハロゲン化物消火器

【ハロゲン化物消火器】ハロンガスが熱で蒸気になり負触媒(ふしょくばい)効果を発生し燃焼の連鎖を止める[抑制]作用と、その蒸気が酸素を遮断する[窒息]作用がある。

それでは以下の消火器の消火作用に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!

消防設備士試験の過去問(構造・機能)

Q質問

危険物第4類第1石油類の火災の初期消火の方法として、誤っているものは次のうちどれか。

A回答

危険物第4類第1石油類はガソリン、ベンゼン、トルエンや、アセトン、ピリジンのような、引火性の液体で、引火点が21℃未満と定義されてます。

一般的な場所で見かけるのはガソリン(燃料)トルエン(塗料)アセトン(マニキュア除光液)ぐらいで他は化学製品の原料として工場などでしか見かけないと思われます。

いずれにしても可燃物としては似たような性質でいわゆるB火災です。

例えばガソリンでも酸素がなければ燃焼しなくなるので(2)の通りで、(1)と(4)は、(2)に準ずるので、(3)が誤りとなる。

Q質問

抑制作用の最も優れている消火器は次のうちどれか。

A回答

(1)と(4)は窒息と冷却。

(2)は窒息と抑制、(3)は冷却と抑制。

(2)の粉末の方が負触媒効果を発揮する化学物質が多いため抑制作用は大きい。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

[強化液:アルカリ金属イオン]

[粉末:アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、りん酸イオン等]

Q質問

消火特性として抑制作用(負触媒作用)をもたない消火器は次のうちどれか。

A回答

触媒とは化学反応速度を変化させる物質のことで、促進させるのが正触媒、低下させるのが負触媒という。

燃焼は可燃物(可燃性ガス)と酸素との化学反応なので、それを遅らせる(抑制する)こと。

(1)強化液消火器はアルカリ金属イオンにより、(2)ハロゲン化物消火器はハロンガスにより、(4)粉末消火器はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、りん酸イオン等により燃焼連鎖反応を抑制するが、(3)化学泡消火器は窒息作用と冷却作用のみで抑制作用はないので誤り。

Q質問

消火器の一般的な消火特性について、誤っているものは次のうちどれか。

A回答

化学泡消火器は気温5℃を下回ると急激に発泡性能が低下する為、低温下では使えません。

化学泡消火器は薬剤放射量が85%以上であったり、使用温度範囲の下限が5℃以上(5℃以下では発泡状態が著しく低下する)であったりと他の消火器より条件が緩いことを覚えておきましょう。

参考【消火器の規格】消火器の放射性能および使用温度範囲は?【過去問】

Q質問

消火器の消火作用について、正しいものは次のうちどれか。

A回答

(1)は二酸化炭素で空気中の酸素濃度を薄める窒息作用

(2)は薬剤の液体による冷却作用と泡による窒息作用

(3)は粉で覆う窒息作用と薬剤の成分による抑制作用。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

Q質問

消火器の消火作用について、誤っているものは次のうちどれか。

A回答

泡消火器は泡の膜による窒息作用と、薬剤自体が液体なので冷却作用もある。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

Q質問

消火器の消火薬剤の消火作用について、誤っているものは次のうちどれか。

A回答

(1)最近の強化液消火器には界面活性剤を含有した中性タイプがあり、放射すると泡が形成されるものがある。

その場合B火災においては泡による窒息作用も追加されるがその効果は泡消火器には及ばない。

(3)二酸化炭素消火器は窒息作用と冷却作用のみであり、抑制作用はない。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

Q質問

消火器の消火作用について、主に窒息と抑制の両方の作用で消火するものの組み合わせとして、正しいものは次のうちどれか。

A回答

試験時の回答の思考プロセスは以下の通り。

(1)、強化液消火器は冷却作用と抑制作用…却下、次。

(2)、機械泡消火器は窒息作用と冷却作用…却下、次。

(3)粉末消火器は窒息作用と抑制作用…お!、化学泡消火器は窒息作用と冷却作用…却下。

残りは(4)だけど、一応確認。

ハロゲン化物消火器は空気(酸素)を遮断して窒息作用とハロンの負触媒作用により抑制作用。

粉末消火器は粉をまぶして空気を遮断する窒息作用と、薬剤成分のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、りん酸イオン等により燃焼連鎖反応を抑制する抑制作用だから、正しい。

Q質問

消火器の消火薬剤の消火作用には、冷却作用、窒息作用、抑制作用等があるが、抑制作用の少ない消火薬剤は、次のうちどれか。

A回答

化学泡消火器は”化学”と付いているので何だか特殊な成分が含有されており、それにより化学的な消火作用が働いているようなイメージですが…放射圧力を得るために化学反応を利用しているだけで消火に関しての化学反応的な抑制作用はないです。

消火器の種別 窒息 冷却 抑制 作用の概要
粉末(ABC)   粉で遮断、成分で抑制。
    水(液体)が冷たい。
強化液   液体が冷たい、成分で抑制。
強化液(中性) ※   液体が冷たい、成分で抑制。
化学泡   泡で遮断、液体が冷たい。
機械泡   泡で遮断、液体が冷たい。
二酸化炭素(CO₂)   酸素濃度低下、気化熱が冷たい。
ハロゲン化物   蒸気が遮断、成分で抑制。

Q質問

消火薬剤の一般的な性状について、適切でないものは次のうちどれか。

A回答

(1)発生するガスは二酸化炭素ガス。

(3)PFOSとは1940年代にアメリカで開発された界面活性剤で、有機フッ素化合物の一種であるペルフルオロオクタンスルホン酸酸(PerFluoroOctaneSulfonic acid)のこと。

環境中でほとんど分解されないことや、体内へ蓄積されることで悪影響が懸念(人の健康への影響についてはまだ研究段階)されるため、ストックホルム条約で製造や使用が国際的に制限されている。

現在は当然PFOSの消火器は生産されていない。

(4)液体から気体(ガス化)するときに気化熱が発生し本体容器や放射口などは ❝キンキンに冷えてやがる❞ 状態になるので冷たいやけど(凍傷)に注意。

Q質問

消火器の消火薬剤について、最も不適当なものは次のうちどれか。

A回答

炭酸ナトリウムではなく、炭酸カリウムである。

参考【消火薬剤の規格】消火薬剤の性能と性状|消防設備士乙6【過去問】

迷わずに回答できましたか?
もし、まだ自信がないのであれば繰り返し「過去問テスト」等を使って類題を解くことをオススメします!

消防設備士「過去問テスト」とは

消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。

参考青木防災㈱【公式】🧯note

\そのまま試験に出ます/

消防設備士「過去問テスト」

※マークシート付き


上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、随時追記して解説を更新していきます。

その他、質問など御座いましたらボちゃんねる(掲示板)へ投稿、もしくはLINEオープンチャット「消防設備士Web勉強会」上でご連絡下さいませ。

弊社HPお問い合わせフォームからの連絡はご遠慮下さいませ。

まとめ

  • 燃焼は「燃えるもの」と、「空気」と、「きっかけ」の3つで起こり、それぞれ【可燃物】と【支燃物】と【点火源】のどれかを取り除けば消火できた。
  • 消火器は[除去]・[窒息]・[冷却]・[抑制]の4つの方法のうち、[除去]以外の3つの方法のいずれか、または複数利用して消火をしていた。