既存特例を適用したパッケージ型消火設備は15m包含で!【大阪市】

今回、大阪市でも特例適用でⅠ型のパッケージ型消火設備を設置したけど…あれ何で通常の水平距離20m包含じゃなくて15m包含やったん⁉
大阪市の例規に「既存特例」ってのがあって、それを適用して設置することになったからです。
あと今回の現場って4階建て物件の2階だけパッケージ型消火設備の台数が1個多く設置するように指導あったけど、あれ何でやった⁉
あれは大阪市I消防署長の決裁つまり所属の判断で「ホース延長が困難」な事による指導でした。

大阪市内で既存建物へ屋内消火栓の代替設備としてパッケージ型消火設備を設置する案件を担当している消防人(消防士&消防設備士)および建物関係者様は、こちら一度ご覧下さいませ。

パッケージ型消火設備で屋内消火栓を代替

パッケージ型消火設備とは浸潤剤(しんじゅんざい)入り水を消火薬剤としたボックス入りのゴツい消火器みたいなもんで、設置条件を満たした場合のみ屋内消火栓の代替設備として設置することが認められています。

参考【屋内消火栓】パッケージ型消火設備の特例設置基準【東大阪市】

今回、通常のH16告示に基づく一般的な設置基準ではなく、大阪市の例規に基づく特例を用いたパッケージ型消火設備の設置となったので、その背景を説明していきます。

大阪市消防関係例規の「既存特例」とは

大阪市消防関係例規はWeb上で全て閲覧可能です。(※未だ公開されていない市町村の方が多い)

「例規」とは

例規‥慣例と規則。また、慣例に基づいてできた規則。

step1大阪市HPの「大阪市消防関係例規データベースはこちらから」をクリック

参考大阪市消防局関係法令

step2「第4編 予防」の「第1章 防火指導」をクリック

大阪市消防関係例規の「既存防火対象物に対する消防用設備等の技術上の特例基準」略して「既存特例」を適用した場合、既設の建物に対して屋内消火栓の代替設備であるパッケージ型消火設備を設ける場合は水平距離15m以下(※本来Ⅰ型のパッケージ型消火設備は水平距離20m以下ごと)となるように配置することが以下の通り規定されています。

5 屋内消火栓設備の設置を要する防火対象物のうち次のいずれかに該当するものにあつては、令第11条又は条例第39条の規定にかかわらず屋内消火栓設備を設置しないことができる。
  • (1) 耐火建築物で延べ面積が1,500㎡以下のもの又は耐火建築物以外のもので延べ面積が1,000㎡以下のものであり、かつ、パッケージ型消火設備((財)日本消防設備安全センターが屋内消火栓設備の代替設備として性能評定したものをいう。以下同じ。)が、階ごとに、その階の各部分から1のホース接続口までの水平距離が15m以下となるよう設けてあるもの
  • (2) 3に適合する部分が存するもので、3に適合しない部分の床面積の合計が700㎡以下のものであり、かつ、パッケージ型消火設備が、3に適合しない部分の階ごとに、その階の3に適合しない部分の各部分から1のホース接続口までの水平距離が15m以下となるよう設けてあるもの
  • (3) 令第11条第1項第6号の規定のみにより屋内消火栓設備の設置を要するもので、当該設備の設置を要する部分の床面積の合計が700㎡以下のものであり、かつ、パッケージ型消火設備が、当該設備の設置を要する部分の階ごとに、その階の当該設備の設置を要する部分の各部分から1のホース接続口までの水平距離が15m以下となるよう設けてあるもの

参考既存防火対象物に対する消防用設備等の技術上の特例基準

当該規定に基づいて水平距離15m包含で平面詳細図を作成しましたが、その建物2階部分のみ追加でもう1台パッケージ型消火設備を設置することになった背景を説明します。

所属の判断による追加設置

今回、現場となった建物の2階部分のみ間仕切りが多くパッケージ型消火設備を用いたホース延長による消火活動の難易度が高いことから、所属の判断による追加設置の指導所属の判断による追加設置の指導がありました。

「所属の判断」とは

所属とは建物を管轄する消防署のことで、そこの決裁権を持つ消防署長を指します。つまり「所属の判断」とは所轄消防署の消防署長による判断と言い換えられます。

以下、大阪市I消防署の予防担当者様から実際にあった指導です。

本件は大阪市消防局を通さず「所属の判断」によって、パッケージ型消火設備を用いた消火活動が難しい(間仕切りが多くホース延長が困難)ことから追加の設置を指導しています。

特例の適用による消防用設備等の設置は「個別案件」つまり、それぞれ個別に設置基準などを判断するものになります。

よって今回の指導内容(ホース延長が困難と見受けられたことによるパッケージ型消火設備の追加1台設置)が他の消防署で通用するかどうかは別の話になります。

もし間仕切りが多い建物にパッケージ型消火設備を設置する場合、追加で1台増える可能性があるので概算見積もり作成時は注意して下さい。

もし「所属の判断」つまり法的なバックボーンが無い指導に対して『条例や例規で規定されてないなら、やりまへん!』って突っぱねた場合どうなるの?
あくまで任意の指導かな…と思いきや『それでしたら特例申請は認められず、屋内消火栓を設置してもらうことになります。』って予防係員さん仰ってました。
消防署側も法的なバックボーン無い指導なんてしたくないけど何でもかんでも特例でOKにするワケにはいかんから、今回は2階部分のみの指導になった感じ。
いや現地見ましたけど、あの間仕切りやとパッケージ型消火設備のホース延長して部屋の端まで消火は無理ゲーでしたから適切で理にかなった指導と思いましたよ。

現場からは以上です!

まとめ

  • 大阪市消防関係例規の「既存防火対象物に対する消防用設備等の技術上の特例基準」略して「既存特例」を適用した場合、既設の建物に対して屋内消火栓の代替設備であるパッケージ型消火設備を設ける場合は水平距離15m以下(※本来Ⅰ型のパッケージ型消火設備は水平距離20m以下ごと)となるように配置することが規定されていた。
  • 大阪市消防関係例規はWeb上で全て閲覧可能であった。
  • 現場となった建物の2階部分のみ間仕切りが多くパッケージ型消火設備を用いたホース延長による消火活動の難易度が高いことから、所属の判断による追加設置の指導所属の判断による追加設置の指導があった。