シンポジウム「消防設備業の未来」文字起こし【IFCAA2022横浜】
当記事は2022年06月08日14:00にパシフィコ横浜のステージにて行われたアークリード㈱主催のシンポジウム「消防設備業の未来」でディスカッションされた内容を文字に起こしたものです。
アジア各国で毎年開催されており、この2022年は日本の横浜がIFCAA開催の会場となっていました。
一部、読みやすいように言い換えている部分がありますが、なるべく表現内容を忠実に再現しておりますのでご安心下さいませ。
目次
⓪登壇者ご挨拶
本日ご登壇されておりますのは‥アークリード㈱尾阪則将さま
お時間になったら私の方で合図しますので、次のテーマへとお進み下さいませ。
まず初めのトークテーマは「点検報告率50%」ということで、尾阪社長から宜しくお願いします。
この問題に対して、ここにいるインフルエンサーの方々やDXをやっている方々ってのはチャレンジしています。
まずトップは㈱スマテンの都築様、点検報告率50%についてお願いします。
①点検報告率50%
点検報告率50%ってことですが、2000年から20年間、報告率って10%くらいしか上がっていないんですよ。
2000年がちょうど40%くらいだったんですけれども。今ちょうど50%くらいというところで。
ここ近年では、ほとんど変わらないような状況になっているんですね。
この50%の実施率っていうのを上げていけば、より日本に安心・安全な建物が増えるっていう風に思ってはいるんですけども、そうは言っても現実の課題っていうのはあるのかなと思っています。
そもそも点検報告率が50%の要因っていうところ、僕は3つあるかなと思っていまして、
まず一つ目にコロナ禍とかで事業転換されて、そもそもこの消防点検が義務としてあると知らない方が一定数いらっしゃるってところ。
二つ目に義務としては知っていて、点検もしているものの、管理が行き届いていなくて点検ができていない。こういった方がいらっしゃるかなと思っています。
3つ目に点検の義務があることを知っているものの、そもそも点検をしたくないってオーナーさんがいらっしゃいます。
- そもそも消防点検が義務としてあると知らない
- 義務としては知っていて点検もしているが管理が行き届いていない
- 点検をしたくない
実施義務があっても400万件くらいある中で200万件の点検報告されていないってことは「規律がない状態」だと思うんですよ。
例えば、車検通してない友達がいたら『人としておかしくない?』って話になりますよね。
点検報告をしていない状況がスタンダードになってしまっているのではないでしょうか?
消防点検って、やらないやつにやらせるべき?そんな制度やめちゃったら?って意見もあると思うんだけど、その辺りは青木君どう思う?
ただ後手でやるタイプの人は自分の義務だと思えていない状況なので、そのハートを喚起する必要はありそうです。
点検をしなければならないって「義務」じゃないですか?
その義務を守らないオーナーの人に、僕がお尻ペンペンします!
お金かかるのでオーナーさんのケチりたいって気持ちもわからんでもない‥ってのは良くないかもしれませんが。
50%以上にするには、お尻ペンペンくらいするしかないんちゃうかな思うんですよ。
建物を所有して初めて知ったとか。
その(消防用設備点検の実施義務があるという)情報を、もっと早く知ることができる仕組みがあればなと。
マンションかなんかを財産を受け継いで貰った方が「点検をしなければいけない」って言われた時に詐欺かなんかと間違えられた例もあったので、知名度も上げていかないとって思います。
消防設備点検をやらないといけないって建物のオーナーさんが思ったより知らない。加藤さんがメディアで喋ってくれているのも解決策の一つですよね。
消防設備士って職業を友達に話すと『消防士?』って間違えられるような状況を変えていきたいです。
しっかり大切な消防用設備を点検するって意識を、その認知度を訴えかける施策を打って出ないとなと思います。
②消防訓練について
僕は指導する側というよりも実施報告書をみて『(消防訓練を)されていますか?』と確認する側ですが…今度は逆にそれを商売にしている吉岡さん、これをどう捉えられていますか。
やっぱり消防点検と同じ様に、やらなければいけないってことを知らない人が一定数いらっしゃいます。
めんどくさい、訓練自体がやりたくないやつであることが多いです。
やりたくなる訓練に変えていく。我々業界の人間が変えていく。
やらなきゃいけませんよじゃなくて、やりたいもの準備してあげるだけで流れって変わるんじゃないかなぁと。
加藤さん、訓練の手ごたえどうですか。
やらなあかんことはやりつつ、楽しく参加したいって思わせるような消防訓練を僕はやっていけたらなと日々思っています。
コロナ禍で「教養型防災訓練」って、この動画見たら訓練1回分として見なしていいですよってものもあったんです。
そういう訓練実施を簡単に達成できる仕組みがあれば、より防火管理をするハードルが下がって訓練実施率も上がるのではないかなと。
これ事業として、どうなんだろう。
吉村君、事業化できているわけ?
そういうところでもアクセントとしてはいいんじゃないかなと思ってます。
それ以外でも青木さんが喋ったこと等、新しい色んなアプローチがあればいいですね。
普段、点検行ったときに例えば排煙口のボタンとか正直「誰が押すねん!」と思ってます。
誰も知らないんで、僕もこの仕事して初めて知りました。
この排煙口のボタンを押すとここが開いて煙が逃げますよ‥など、もっと動画とかをみてもらわないと、点検しても意味ないと思う。
訓練の動画とか設備についてこんなんありますよって、もっと皆さんにオープンに知って頂かなければと。
そういう夢(理想的な状態)になりたいと思うんですけど中々、現実にならない。
最後に都築さん、今システムを作っている中で、訓練関係はないやろうけど、将来的なビジョン等あるのでしょうか?
火災が起こった時に、いかに早く減災・初期消火・避難ができるようにするのか。
その消防点検や訓練の目的をPRしていく必要はあると思っています。
では次のテーマに行かせて頂きます‥ここからは重いです。
③人手不足
資料を印刷してお渡ししていないので‥ざっくりコレ何の表か分かんないと思いますけど、
実は、これ消防設備点検資格者の合格者数と思ってください。一番下に書いてある数字が延べ人数です。
その中で人口比率に一番近いものとして調べていくと点検資格者1種が人口比率に一番近いです。
で、この三年ほど前からのコロナの間、景気が悪かったってことで約2,900人ずつ位、増えてます。
ところが今年、令和三年度はたった2,300人になっちゃった。
バブルの時、僕らベビーブーム世代では大体3,500~4,000人受かってるんですよ。
ということは、あと10年したら1年ごとに1,700人ずつ減っていきます。
これがどれだけの数字かと言うと全体の約1~2%。
その人間で点検していかなきゃいけないって考えた時に、デジタル的なものを使って点検していかなきゃいけない‥わかるよ。
だから改正しなきゃいけないって言われて、それで出た記事がこれ。
我々のアナログ点検というのは他の点検とは違う。
何でって、誰も見ないんだもん。興味がないから。僕らが見ないとダメ。
そういうものに対して、こんなん出されたら‥入ってくるか!?我々の世界に。
その人を増やそうと努力してくれているのが、吉村君であり、青木君であるわけですよ。
そこで吉村君、その辺りを含めて心を込めて喋ってもらえたらと思う。
消防用設備が他の電気設備や空調設備および給排水と違うと思うのは、基本は使わないところ。
日常使わなくて、火災が起こった時に作動する設備。なんで一般の方は自分のとこの設備が動くかどうか分からないんですね。
電気やったら分かりますよね、空調やったら分かりますよね‥ってところが一つ大きく違うところかと。
そこで消防用設備の点検をされている方も多いと思いますけど、目視点検なくなったらスプリンクラーの(散水)障害どうやったら分かるの?とか、色々ツッコミどころ満載やと思います。
他の電気設備などの年間点検等と同じような感覚で記事が出されているのであれば概念が違います。
消防用設備を使うときは命の危険があるときなので、そんな簡単に他のものと一緒にすべきではない。
父親が起業したのが私が12歳くらいの時でしたが、その当時から人材不足だと言っていた。『人足らん、人足らん』って。
で、今も言っているんですよね。今は私も起業しているので、その気持ち分かります。
そういう人材不足を解消するマッチングサービスやってまして、いろんな会社さんと携わらせてもらってますと、やっぱり各会社さん(人手不足だと)言っていると。
ずっと変わらんねんな。もっと言うと今の数字を見ていると、より酷くなるのかなと。
なので機械で点検していく、それも素晴らしいと思います。できるところはやっていく、それも考えながら。
めちゃくちゃなことになると思うんですよね。
(実際は)一人社員が辞めただけで大変なことになる。
その穴埋めをいきなりIoTで代替できるかというと難しいと思うので、僕は副業ワーカーと呼ばれる人たちに、この業界に携わってもらいたいなと。
どういう人が僕たちのサービス(を使っている人)に多いかというと「ビル管理会社でお勤めされている方」「電気工事士の方」「ビルメンテナンス会社で働いている方」。
あと工場で勤務されている方って乙6持っているんですよね。
そういう消防設備士の資格持ってるけどやったことないって方向けに僕らスクール制度もやっているので、研修もして作業のやり方も教えています。
そんなことも混ぜ合わせて、副業としてUberEatsやるんやったら、消防用設備点検の応援からでもやってくれませんか?と。
そういう風にしてこの業界にちょっとずつでも触れていってくれませんかと。
そういう風な想いでマッチングサービスを運営しています。以上です。
ハッキリと言って‥みんなに知られてますけど。
何で認めてこなかったかというと、セキュリティの問題が一番大きい。
これをどうやって解決するのかというところで、今のスクールの話は解決策の一つとして見出されたものだよね。
もう一つは補償の問題。
これは保険を作ったって話を聞いて『やるなぁ、この男は。』と思いました。
ただ、まだまだ勉強はしてもらわないとなと思うけど。
その辺りで同じようにこの分野、何とかしたいと思っている…青木君!
あんなブログ書いて!(笑)
ほんでコレ、最近出たニュースじゃないですか。
一部を機械とかで代替していくために外観点検とかを廃止していきましょうって、これって人手不足の話があってから当ニュースがあるわけじゃないですか。
ってことは、この施策は「人手不足を解消するために、これをやっていきましょう」なんで、やはり流れに則っていることかなと。
これに対して『ナメんなよ!』って、『ウチらの仕事は外観点検もあって、こういうことやってるんや!』って(消防設備業界側の)意見もあると思うんですけど、大きな流れとしては人手不足解消のために出てきたことなので、そこまで否定することではないのかなぁと思っています。
まぁ、この件は順接的なんかなと思いました。
都築さん、どうですか?この辺り。
将来的にはいわゆる年配の方が辞められていくと人手不足にはなるかなぁと思うんですけど。
事実、我々が点検業者としてではなくプラットフォーマーという立場で皆さんにお仕事やって頂いているんですけど、我々が取ってきた仕事をやって頂けるということは点検業者さんのリソースってのは未だ空きがある状況かなと思っています。
ただ、その一方で点検業者さんの稼働率を上げていくってとこで考えると、いわゆる点検業務とか本来やらなければいけない仕事以外をやってしまっているのではないかと個人的に思っているので、そこで人手不足を解消していくためにも、その状況を改善するステップは踏む必要があるのかなと思っています。
ちょっとここで一回お客さんに聞いてみようよ。人手不足を痛感している経営者の方々、手を上げてもらっていいですか?
あれ?少ないんだ?二人?
(大勢の手が挙がる)
これは、たくさんいますね。
この状況について、ここに登壇しているインフルエンサーのみんなで解決策を考えていってほしい。
どうですか、これを見て加藤さん。どう感じますか?
これは何とかせんとダメやと思います。
で、現時点では人手不足だったり、そうでなかったりする防災屋さんはあると思うんですけど、この先は絶対人手不足になっていくと思います。
でもビルの数は増えていってるじゃないですか。
なので、これはインフルエンサーの方が何とかせんと‥もうお尻ペンペンですね。
それで言うとシンプルに、この業界が盛り上がっていけば。
消防設備士ってのが今吉村さんがやっていらっしゃるようにビジネスとして面白いですよとか、儲かりますよって打ち出し方、今されてると思うんですけど。
基本的に業界が盛り上がっていけば外部から人が集まってくると思うんですよね。
ですから点検をしなければいけない建物が増えちゃって点検する人たちもいなくて仕事請けれない…といった需要過多になったタイミングでは当然単価も上げていけるでしょうし、その時には色んな外部の業界から人が入ってくるんじゃないかなと個人的には思ってます。
ちょっと私はTwitterでこの業界の方のご意見みることがあるんですけど、たまに愚痴が出てたり‥『会社がナントカ』と『現場がナントカ、協力業者がナントカ』って人のせいにしてる意見も見るんですね。
そういうところに他の業界から『この業界、面白そうだから入りたいな』って思うかどうか、っていうのは真剣に考えるところじゃないかなって思います。
もういい?
消防設備士になる人って大体セカンドキャリアなんですよ。
一回どっかやってから入る人が多いと思うんですけど、それって何でかというとビル管理とかやって『あ、こういう仕事あるんや‥』って別の職業を通して初めて知る。
なので、まず第一の選択肢に、ファーストキャリアのところに消防設備士ってのが入るように工夫しなければならないと思っています。
先程、尾阪社長が『消防設備士の仕事』という言葉を仰っていたのと同様に‥これも我々の仕事だと思っています。
だから人手不足ってところに我々もちゃんと仕事として寄与していかないと、いつまでたってもセカンドキャリア以降で人も来ないって循環が続いちゃう。
ファーストキャリアで選んでもらえる位の職業にするってのを仕事として消防設備士がやっていかなければならないと思っています。
たぶん今来られている方で地方の人、間違いなく困っているはず。
何でかって言うと、どんどん都市に優秀な人材が行っちゃうわけ。
大学行くと、みんな都会に出る。残るのは高校生とか、この地域に残ろうという人だけ。
その中で、ほとんどが役所と大手工場に行くのよ。僕この話をね、仕事で回ってて皆に言われたの。
だから大阪とか東京でやってる人たちを田舎に戻すっていうリターンのところも実現したい。
それには、この仕事が面白いっていうような、夢を与えられる教育を、理想を喋れるようになって初めて残ってくれるんだと思う。
だから、この人手不足ってテーマを大事にしたい。
今数千名のワーカーさんがウチのアプリをご利用されていて、今まで何となく知っているけど…資格だけ持っているけど…みたいな人がですね、このサービスを知ったおかげで働き始めたって意見をたくさん頂きます。
その中で、やってみると楽しい、笑うとかじゃないけど意義があるって意見多いです。これってホンマに人の命守る仕事なんやなって。
加藤さんもそういった発信されていると思うんですけど。最初はそんな気持ちで入ってこないんですよね。
僕もそうでした。父親がやってたから、だから何となく触れました。
そういう人、多いんですよ。加藤さんも入り口はね、最初から高い志を持っていたわけではなかったですけど、やりはじめてからそうなっていった。
だから、やるのって大事やなって。百聞は一見にしかず。
口だけで言っててもしょうがないなっていうところもあるんで、やっぱり消防設備士の資格をまずは取ってもらいたいな。
取った後、スクールとかもありますけど、とにかく別に僕らのアプリじゃなくてもいいです。
知り合いのところでも、何か経験する機会があれば、また大きく変わるのかなって思います。
能力を数値に表してもらって、いい仕事をする会社は値段を取ってもいいようなシステムって生み出せないのかな?夢だけど。
ここを例えば技術あるんだけど消火器の点検だけ回っているっていうのであれば、どうしても単価の低い部分になってしまうと思うので。
そういう意味でいくと、まず自分の能力に見合った仕事を探すマッチングのところからやっていかないとならないのかなと思っています。
そこはシステムでも、自分の得意な仕事と案件を紐づけができれば、その逆ってのは無くしていけるのではないかと思っています。
この話これくらいにしておきたいんですけど、僕の歳に皆さんがなったときにどう捉えるのかってのは任しておくけど…あと10年先は大変なことになっていると思う。
その時に知恵を絞ってほしい。
じゃあ次のテーマ行ってみたいと思います。
④消防法は古い
このテーマ、さっきと一緒でね…やたらに言ったら怒られるので、ほどほどにしておかないといけないんですけど。
消防法って昭和21年の戦争が終わった時に作った制度です。
その時に、道もない、建物もない、消防車もない時にどうやって火を消すか。
地方で消さなきゃいけないから、地方自治体でやりましょうって。
警察は都道府県単位ですよね。だけど消防は地方毎にやりましょうって。
今736団体あります。それに対して約70年やってきました。
点検制度も昭和50年から始まって上乗せ上乗せ上乗せでここまできました。
今回アナログ点検の廃止ってさっきのテーマが入ってくるけども、その辺りで大きく変わるけども消防法の建付けが変わるってのは多分無いのかなと。
けど、やるなら今頃からやった方がいいんじゃないのか。
じゃあ都道府県単位でもできるんじゃないかとか。
こういうことを僕は考えている。
この辺り、発信力のある青木君なんかはどうでしょう?
点検もそうだし、工事の検査も含めてずーっと同じパターン同じ形を積み重ねてるってのは事実。
デジタル化をします、電子化をします、今度から外観点検やアナログ点検を廃止しますって中で、どう法律の建付けを作るって?
これは国が考えることだけど、おれらにだって意見を言う義務はあるわけで。
えっとですね、消防法の設備に対するルールってのは特例とか、例えばパッケージ型消火設備をつけやすくなったりとかで少しずつアップデートされているので速度感的にはギリギリ合っていっているのではないかと思っています。
電子申請については消防本部や市町村によって権限が分かれていることによって、この消防業界全体で足並みを揃えていかなければならないって時に、この消防組織法ってのは決まっていることによって不便な状態にはなっていると思うので、昔からのルールってのが足を引っ張っているってのは事実だと思います。
ところが他府県、例えば大阪だったり愛知、ここ神奈川もそうですけど結構お金持ってるんですよ。
市町村が。だから自分のところのルールでやった方が自分たちのやりたいようにできるから変えたくないんですよ、はっきり言って。
けど地方行くと‥大分なんか組合いくつあるか分かります?(吉岡さんの方を見て)
で、北海道めちゃくちゃあるのよ。
けど北海道ってどうやってるのかなと思うんだけど、電子化の話で調べてたら北海道の人はぴったりサービスやるって言うんですよ。
何で?って聞いたら北海道庁から『どうするか決めろ』って、この二年で言われてるんだって。
たしかに進んでるな‥って思って。
どう、他に意見ある?
民間の側だけではなくて。
ぴったりサービスが総務省消防庁から通達が各エリアに出ていますけども、『言われたらやらざるを得ないけど、ほんまにこんなんでできるのか?』って意見も多数耳に入ってますんで。
ただ僕コロナで印鑑もなくなって郵送もできるようになったってのは、かなり大きいと思っています。
もちろん『あれが‥これが』と言い出したらキリがないです。
例えば非常照明の件や排煙の件とか、建築基準法に基づく建築側と話し合ってくれよと。
すでに電子申請をやったことがある方、手を挙げてもらっていいですか?
(10名ほど手が挙がる)
あ、いた!おれだけだと思ったのに!(笑)
けど進んでるよね、だんだんと。
でも皆さんに取り入れて頂かなきゃいけないし、電子化を進めていかないと、さっきの人手不足も解消しない。
これ都築さん、スマテンとしてもこの電子申請どう捉えていきます?
デジタル化というか電子化について。
僕ら側でやれることってのは、ある程度限られていると思っています。
電子申請もそうですが、僕ら側の都合だけでは何ともならないので、いかに課題を法律を決めてらっしゃる方々に声を届けられるかがポイントになっているのかなと。
それとね、今回4000条のところに書いてあった文言で気になったところが「資格の試験や講習をリモートで受けられるようにしていきましょう」って部分。
今後、点検資格者とか防火管理者などの講習がWeb上で受けられるようになるかもしれない。
ただ防火管理者は今のところ市町村が管理しているから、もしかするとそこが難題かと。
僕が言いたいのは再講習制度を管理ができている自治体と、できていない自治体が存在していて、再講習を通知できていない自治体がかなりある。
これは僕が防火・防災管理点検をやっていて痛感するところ。
僕が『受けて下さい♪』って言うのは、おかしいよね?
そして再講習を受けに行こうと思ったら半年待ち一年待ちで受けれない‥みたいな。
そんな時代になっているってのも事実で、だからコロナが明けた後、デジタル化が進んでどういう世界になるかってのは免許の制度もそうだし、こういう全てのものが変わっていく‥その辺り吉岡さん、どう捉えてます?
オンラインで参加するって形の講習にすれば、リアルでやるのと変わらないんじゃないかと。
言うてる間なのかなと。
(会場に向かって)維持台帳って分かりますか?
防火・防災管理点検されている方、分かると思いますが、それを見て点検をしています。
それが既に僕の現場ではデジタル化されていて、もうWeb上で見ています。
目が悪いから最近眼鏡外さないと見えないんだけど…。(笑)
そのWeb上で見るのが当たり前になっていく時代に、クラウド上に防火管理維持台帳などのデータがあるって意味で言うと、今始めてる青木君がスタートなんだけど、その辺どう捉える?
今あそこ(IFCAA横浜2022アークリード㈱さんのブース) で展示しているものもIDパス入れたら建物関係者や防火管理者さんがいつ点検していているか分かったり、点検報告書のPDF置いといたりして‥もしデータでPC内入れておいて無くなった場合でも、そっから持ってこれるのでいいんかなと。
加藤さん、ちなみに始めたとこなんでイメージわかないかもしれないんですけど「消防計画書」ってみたことありますか?
‥一回だけ見たこと、あるかもしれないです。
だって本当は防火管理者さんが作ったマニュアルなのに、何でどっかに隠れていて『どこに行った?』って探さなきゃいけない?
おかしいんだよ。何でって避難するルール決めたマニュアルなのに使えないマニュアル作ってどうすんの?
今、防火・防災管理点検しているときに必ず言うのは『マニュアルとして思っておいてください。』『他の制度とちゃんとリレーションして下さい。』『PDCAあるんだったらPDCAして下さい。』『BCPあるんだったらBCPと連携して下さい』それをやらなきゃいけないんだけど、ただただ『やらなきゃね…』で終わっている人が多い。
だから変えていきたい。
こういう消防法の積み重ねっていうのが『こんなもんでいいだろう』って決めているのは、自分たちの限界のラインではないんですよ。
これ商売もそうなんです。
これを商売としていて、その限界を決めているのは我々であって、そっから超えるかっていうのは新しい時代の人が、どうやって次の人たちに火災予防について意識付けていけるか。
デジタルが進むってことは、もっと伝えやすくなる。
それをいかに活用するか、それを考えていってほしい。
そろそろこのテーマ終わりますが、何か伝えたいことある方いますか?
デジタル化で青木さんやスマテンさんサービスで管理していく部分をしっかりできれば、法律の変更に期待せずとも民間側で整備できる部分はあるのかなと思っています。
結局、火災のリスクって人が普段想像できないから、その想像力の欠如を埋めるために消防法ってのがあると思っています。
何かあった時のために準備しておかないとヤバいことになりますよってのを言っても分からなくて、それで未来に後悔する人がいるんで法で決めておくってことなんやと思っています。
それをやめちゃったら損する人ってのが出てきて、『そんな危ないんやったら法律で決めといてや‥』みたいな人がいっぱい出てくるんじゃないですか。
あと誰か意見ありますか?
今の話めっちゃ面白いなと思ってて、尾阪さん『もう法律で決めんのやめよや~』みたいな。
自主点検せえやみたいな‥アメリカそうですよね。
じゃあ韓国はどうかっていったら日本の法律を模倣されてて、法で罰則を決めている。
罰則決めていて、それ効果あるんかって言ったら抜本的に変えないといけない(効果を期待するには足らない)んですよね。
ほんまに相当抜本的に変えないといけないので、現実性は低いのかなと思います。
‥消防計画書、見たことあります。
点検行ってて、発信機とかあるじゃないですか。あれ電話(ジャック)刺すじゃないですか。素人ながらの意見ですよ…誰が使うねんこんなもんって思うんですけど。
あれはどうなんですかね?
携帯電話がある世の中で、地下の発信機ならまだ分かるんですけど、各階にあるじゃないですか、電話(ジャック)刺して『もしもし‥』って。これ誰が使うねんって思うんですけど。
あれは必要なんですか?
これ、ちょっとガサガサ(ノイズ音)するけどいいよね?っていうのがありました。
あぁいう部分が確かに、もうちょっとアップデートしようか‥とは思いますね。
(加藤さんの方を見て)点検資格者の実務必携って持ってます?
点検上は。
だから点検時に(電話が)無かったとしても不良にはならない。
でも整備用だから、あった方がいいから無い場合はつけて下さいねって指導にはなる。
結局、今でも地下だと電波飛ばないんですよ。遠かったら飛ばないんですよ。
だからついてるってのが正しい答えなのかもしれない。
だから二酸化炭素(消火設備)とかにもついてます。消火設備点検用の(電話)ジャックがついてます。
ついてないとこもあるよ。そういうイメージのものだって部分もある。
物凄く天井高いところに熱の感知器があったりするんですけど、これが反応したときには、もう手遅れじゃないですか。
『こんな高いところに熱感知器あって何の意味があるんやろ‥』って点検しながら思うことがあるんです。
あれはどうなんですかね。
空気管ではないかなと‥青木君、空気管じゃないよな、きっと。
空気管って(高さ規制)8mでしたっけ?
これ以上広げると炎感知器付けて開放型スプリンクラーつけて、側壁型スプリンクラーつけて‥みたいな。
まだまだ勉強してもらわなければならないなと思います。
それで試験ありますよね。
それから合格発表が一か月後くらいですよね。
そんで免状貰えるのが一か月後じゃないですか。
‥何であんなに期間かかるんですか?
ちょっと長かったです。本来よりは長かったですけど、それでも合格発表から免状取得まで二週間とかはかかりますよね、今でも。
それが長かったんで、ちょっとイライラされているのではないかと。(笑)
⑤消防のDX・SDGs
また残り時間あと10分となっております。宜しくお願い致します。
SDGsは僕が最後に喋りたいので、DX‥誰からいきますか?
ではDXについて‥では都築さん、今後のDXについて喋って頂けたらと思います。
色んなサービスが世の中にあって、その中で当然DXを推進しているとは思うんですけど、実際導入してみたら割と手間増えちゃったとか、作ってる側のエゴで作っちゃって実際に使ってみると割と不便だとか、かゆいところに手が届いていないよねってところが色んなサービスで起きていて、普及していかないって原因に繋がっているのかなと。
そういう意味で、いかに現場の方とか点検を依頼する依頼主の方とかが楽になるのかってのがDXのポイントというか本質だと個人的には思っています。
じゃあ次どっち行きますか?
僕は人材不足のマッチングサービス以外に、もう一つ点検報告書のクラウドサービスっていうのも運営しております。
もともと自分たちで作ったっていうよりはプロサスさんっていう消防設備の卸の会社さんが運営してたサービスってのを事業買収という形で弊社のサービスとして運営している状態なんですけども、それはクラウドサービスで古くからあった先進的なサービスだったんですけど、まだまだ認知度が少ないなってところで僕たちがもっとアップデートしていこうってことで。
業界のDXってのもそうですし、このサービスの価値を高めていってDXに貢献したいなと思っているんですけど、やっぱり点検報告書を紙じゃなくて電子っていうのも一つ素晴らしいことですね。
やれることっていっぱいあると思うんですよね。
電子でしっかり管理していこうという日本に貢献できるようにサービスを展開していきたいと思っています。
‥ありがとうございますッ!
デジタルトランスフォーメーションって読むんですけど…
今後いろんなソフトが出てくるかも分かんないけど、単独オリジナルで終わるのはダメですよ…ってのがDX。
仕事ばっかしてるから最近見てないや。
じゃあ本題に戻って、俊輔君。
防火管理者の補助をする「ボジョ」っていうコンテンツと、あと「BOSAIメンバー」って防火管理者さんに登録してもらったらIDとパスを入力した専用ページで点検状況が分かりますとか点検報告書のPDF取れますとか。やっていることシンプルやと思っています。
加藤さんDXご存じなかったのかと思うんですけど、DXって言葉がバズワードいわゆる流行りの言葉で『DXしていきましょう』と言われて、何かDXをするってのが目的になり過ぎてるかなと。
この業界って「便利にするには」って考えた時に、もっとシンプルにできることいっぱいあると思っています。
例えば僕ブログで発信してますけど、これも会社毎にマニュアルに落としていたことをDXしたってことやと思うんですよ。
それで世の中に便利さという価値提供ができるので、これだけ見てもらえているのかなと。
だからDXってのは、もっと皆さんでもできることで、もっと取り組むハードルが低いこともあるんじゃないかなと思っていますね。
このDX、システムは持っていらっしゃらないので多分使う側になるのかなと思うんですけど、今後インフルエンサーとして、どんなものができて発信していきたい等、夢みたいなのありますか?
やはり『こっちの使ったら、こっちでは使えない‥あっちの使ったら、これとは整合性取れない』といったジレンマはユーザー側としてはいつも思っています。
点検報告書のソフトとかアプリもそうなんですけど、他のに乗り換えたりってのはし辛いってのは非常に感じます。
私DXってやってますけど、設備業IT推進会の主査つまり責任者もしています。
その設備業IT推進会で、次のコマとって国の方に来てもらって電子申請について話してもらいます。
この二年間くらい国の方とお話をさせてもらう中でね「この電子申請は避けては通れないもので、何が何でもやる」って言われたんだよね。
だから僕は覚悟を決めて、皆さんが電子申請に移行できる環境づくりをしていこうと思って、この会も開いたし、この後の会も開きました。
それに協力してくれる沢山のメンバーがいたから今ここに僕が立てている。
会場の皆さんに来ていただいて、お話を聞いてもらえている。
けど、ここで立って発言するってことは、未来に対しての責任を語ったってことなので、我々みんなで頑張っていきたいと思っています。
このテーマの最後はSDGsについて私が喋らせて頂こうかなと思っていました。
電子申請もSDGsです。紙が要りません。届出を持っていく際の移動で消費していた燃料も要りません。
だから消防官の方にも早くZoomとかTeamsとかで打ち合わせできる環境を作ってほしい。希望です。
まだ完璧ではないです、まだ問題点もあるかもしれません。けれども必ず作ります。カッコいいものを作りたい。
僕の中で言うと「業界のフェラーリ」を作りたい。
だって、持ってみたくないですか?ウチの試験器、持ってみられた方います?(会場に挙手を仰ぐ)
ありがとうございます。カッコいいでしょ?
自分でもカッコいいなと思いました。
だから使いたいと思っているんですけど、まだもうちょっとだけ組み立てたいと思ってますんで、あと半年位お待ち下さい。
で、これもSDGs。
ただフロンガスを使っている加煙試験器のスプレー缶を見た時、メーカーの方へ『何でノンフロンのスプレー作らないの?』って言ったときに、『誰にも言われないから』って言われて腹が立って、ノンフロンのヒーター式の加煙試験器を作ったのが環境対策としてもいけるんじゃないのかっていうのがスタート。
だけど今になって電子申請でウチのAIBO-ZUも蘇ってきているし、今度の試験器もそう。
全部SDGsに繋がっていってる。けど、これをどうやって防災業界のSDGsに入れるかっていうのは、ここ(会場)に関わっている方々の考え方ひとつ。
どうやって商売に繋げるか。金儲けだからね、最後は。
そういうことで、このテーマで一時間ほど喋りましたけども、未来で若い子たちにどんどん成長してもらって、新しい防災業界を作って頂けたらと思います。
今日は一日、有難う御座いました。
改めまして盛大な拍手をお願いいたします。
すごい景色やなと思って。
こっち(ステージ側)から撮って‥すごいことやと思うんですよね、今日のこの会って。
いいですか?
謝辞
会場にお集まり頂きました皆様、IFCAA横浜でご挨拶させて頂きました皆様、本当に有難う御座いました。
このシンポジウムは消防設備業界を変える、消防設備業界の未来を明るく照らす非常に有意義なものであったと思います。
アークリード㈱尾阪社長そして(一社)全国設備業IT推進会の尾阪主査、本当に有難う御座いました。
尾阪社長の周囲を巻き込む力、実行する力、改めて圧巻でした。
初めて尾阪社長にお会いさせて頂いたのが2016年のIFCAA大阪でした。
その頃から消防設備業界の凄まじい革新者であった尾阪社長に憧れ、ずっと注目させて頂いておりました。
今回、尾阪社長と一緒にステージ登壇させて頂ける機会を頂けたこと、よくよく振り返ると夢のようだなと。2016年の自分に教えてあげたい。(笑)
この御恩は消防設備業界そして次世代に必ずお返しさせて頂きます。
むしろ以前より爆速で走り続けている尾阪社長の背中、一向に見えませんが頑張って追わせて頂きます。
これからも何卒、よろしくお願い致します。
まとめ
- 2022年06月08日14:00にパシフィコ横浜のステージにて行われたアークリード㈱主催のシンポジウム「消防設備業の未来」でディスカッションされた内容を文字に起こした。
- IFCAAとは「International Fire Chief’s Association of Asia」の略で、アジア各国の消防関係者が集まる会合のことであった。
- 会場へ来れなかった方、もう一度あの時に話された内容を確認したい方にご覧頂きたかった。