【過去問】消火器具の外観点検|消防設備士乙6【消火器の点検・整備】
消火器の点検・整備については、総務省消防庁によって作成・公開されている「消火器具点検要領」を基準に実施します。
目次
ブログ著者の紹介
管理人は、消防法に基づく「消防設備士」および「危険物取扱者」の免状を、共に ❝全類❞ 取得しています。
以下にて、『消火器の外観点検って、どこ見てんの!?』という疑問を解決していきます。
消火器具の設置状況
消火器具の点検において「設置状況の確認」は重要な項目の一つです。
消火器やは勝手に動いて消火活動をしてくれるわけではなく、人が使って初めて効力を発揮するものです。
その為に、まず以下の消火器具の設置状況に関する点検項目を確認していきます。
設置場所
邪魔にならず容易に持ち出せる温度が適切で劣化しにくい、床から1.5m以下の場所であること。
設置間隔
どこからでも歩いて20m以下(大型は30m)の距離で、消火器に至れるように配置してあること。
適応性
下表に示すように適応していること。
耐震措置(転倒により消火薬剤が漏出するおそれのある消火器に限る)
変形や破損がなく、適正な措置がされていること。
表示および標識
表示は、所定の場所に銘板が貼付されており、表示内容が正しく、鮮明で脱落や損傷が無いこと。
標識は、見易い位置で、種類に応じた標識が設けてあること。
※適応火災の絵表示に注意。
ハロゲン化物消火器は注意書シールの有無を確認し、点検票に記載のこと。
消火器具の外形(外観点検)
本体容器
薬剤の漏れ、変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
※腐食のあるものは耐圧性能に関する点検を行う。著しい変形、腐食等で機能上支障のおそれのあるものは破棄する。
安全栓の封
損傷がなく、確実に取り付けられていること
安全栓
操作に支障のある変形、損傷がなく、確実に装着されていること。
使用済みの表示装置
損傷や脱落等がなく、作動していないこと。
押し金具及びレバー等の操作装置
変形や損傷等がなく、確実にセットされていること。
キャップ
強度上支障がある変形や損傷等がなく、容器に緊結されていること(手で確認などをする)。
※緩んでいるものは締め直しを行う。粉末で損傷や緩み等のあるものにあっては、消火薬剤の性状を点検すること(湿気の侵入の疑いがあるため)。
ホース
変形、損傷等や、内部に詰まりがなく、容器に緊結されていること(手で確認などをする)。
※消火薬剤の漏れや固化による詰まりのあるものは、消火薬剤量を点検すること。ホース取付けねじの緩みは締め直すこと。加圧式の粉末消火器(開閉バルブ付きのものを除く)で詰まり、著しい損傷、取付けねじの緩み等のあるものにあっては、加圧用ガス容器の封板及びガス量、消火薬剤量及び性状を点検すること。
ノズル、ホーン及び ノズル栓
変形、損傷等や、内部に詰まりがなく、ホースに緊結されており、ノズル栓が外れていたり、ホーン握りが外れていないこと(手で確認などをする)。
※異物による詰まりは清掃すること。消火薬剤の漏れや固化による詰まりのあるものは、消火薬剤量を点検すること。ネジの緩みは締め直しをすること。ノズル栓の外れているものは取り付け直しをすること。加圧式の粉末消火器(開閉バルブ付きのものを除く。)で詰まり、著しい損傷や取付けねじの緩み等のあるものにあっては、加圧用ガス容器の封板及びガス量、消火薬剤量および性状を点検すること。
指示圧力計
変形や損傷がなく、圧力値が緑色範囲にあること。
※緑色範囲外のものは、指示圧力計の作動を点検する(下限より下がっているものは、消火薬剤量を点検する)。
蓄圧式消火器の指示圧力計は、放射圧力が確保されていることの確認だけでなく「本体容器内部の状態確認装置」としての役割もあります。
圧力が維持されている事で『容器に漏れが無い』『密封されていることで異物混入が無い』『使用された形跡が無い』等、大まかに推測することができます。
しかし、その推測の根拠となる指示圧力計自体が正常に作動していなければ全て無意味になってしまうので、指示圧力計の点検は重要です。
単純な構造なので、そんなパカパカ壊れるものでは無いですけどね。
圧力調整器
変形や損傷等がないこと。
安全弁
変形や損傷等がなく、緊結されていること(手で確認などをする)。
※噴き出し口の封が損傷や脱落しているもので、反応式消火器で反応しているものは薬剤を詰め替える。その他のものは消火薬剤量を点検すること。ねじの緩みは締め直しを行う(ハロゲン化物消火器、二酸化炭素消火器は消火薬剤量を点検すること)。
保持装置
損傷や著しい腐食等がなく、容易に取り外しができること(着脱を行うこと等により確認する)。
車輪(車載式消火器消火器に限る)
変形や損傷等がなく、緊結されていること(締め付けを行うこと等により確認する)。
※結合部の緩みは締め直しをする。 粉末消火器で折れ、潰れ等の損傷や、結合部の緩みのあるものは消火薬剤の性状を点検すること。
それでは以下の消火器の「外観点検」に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!
消防設備士試験の過去問(点検・整備)
消火器の設置に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1)正しくは床面からは1.5m以下(1.8mでは小柄な人が届かない)。
【早見表】消火器の設置基準|法令(類別)消防設備士乙6【過去問】
(3)は水平距離では無く、歩行距離で20m以下(大型は30m以下)。
【早見表】消火器の設置基準|法令(類別)消防設備士乙6【過去問】
(4)のような規定はない。
消火器と簡易消火器具を併設する場合には、消火器の能力単位の数値が簡易消火器具の能力単位の合計数の2倍以上になるように消火器を設置しなければなりません。(=簡易消火器具に代替できるのは全体の半分以下の消火器)
消火器具の能力単位の数値の合計数が二以上となる防火対象物又はその部分にあっては、簡易消火用具の能力単位の数値の合計数は、消火器の能力単位の数値の合計数の二分の一を超えることとなってはならない。
他の設置状況の誤りを見抜くことができれば、消去法で正解を導き出せる問題です。
消火器の機器点検に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(1)外形の確認は全数行います。よって誤り。
(3)著しい腐食があった場合は要因も考慮し、新しい消火器はアルミ製・ステンレス製の格納箱に収納するなどの設置状況における対策をします。
消火器の外形確認に関し、誤っているものは次のうちどれか。
(3)(4)例えば大型のスーパーやホームセンターなどの点検では、売り場のレイアウト変更等で消火器の位置がメチャメチャになっていることがあります。
その場合には設置間隔・環境・視認性等を考慮し再配置することもあります。
消火器の本体容器の外形確認の結果の措置として、誤っているものは次のうちどれか。
著しい変形、腐食のある消火器は新しいものと交換するが、そうなった要因を考慮し対策することも忘れずに。
また、廃棄する消火器は事故になる恐れがあるので、訓練等でも使用しないこと。
ガス加圧式粉末消火器の外形確認後の措置として、誤っているものは次のうちどれか。
(1)どれだけ内部に異常がなくても型式失効対象品は消防法で『消火器具』と認められない為、廃棄します。
(2)キャップが緩むと湿気が侵入して薬剤が固化している場合がある為、内部及び機能の点検を行い、薬剤の性状を確認します。
(3)底部に著しい腐食のあると放射時に一気に本体内部が加圧された時、その圧力で勢いよく底が抜けて事故になった事が過去に何度もあったので特に注意して下さい。
(4)安全栓は放射後も元に戻せる為、使用済みの表示の方が信頼度は高く、それが作動しているということはレバーが握られた可能性が高いでしょう。
ガス加圧式粉末消火器(開閉バルブ式)の外形確認で発見された異常についての措置として、誤っているものは次のうちどれか。
(1)安全栓が外れていると、レバーが握られた可能性があります。
レバーが握られて加圧用ガスが放出されると本体容器内が加圧されて開閉バルブで放射の制御が行われている可能性もあります。
しかし使用済み表示装置は作動していないので、本体容器内は加圧されていないことが分かります。
よって安全栓は抜かれたが、レバーは握られていないと判断できます。
(2)キャップが緩んでいると内部に湿気が侵入し薬剤が固化している可能性があるので正しい。
(3)ホースの取り付けネジ部分は開閉バルブにて内部と区切られている為、内部の確認は不要です。
(4)軽く錆びている場合はサンドペーパーで錆を落としてから塗装します。
外形の確認で発見された異常について、内部および機能の確認を行わなくともよいものは次のうちどれか。
(1)封板が破損している場合は、安全弁が作動した可能性があります。
安全弁が作動したのは薬剤が何かしらの原因で混合し反応した等が疑われる為、内部の確認をします。
(2)キャップが変形すると緊結部に隙間が生じ、そこから内部に湿気が侵入し薬剤が固化している可能性がある為、内部の確認をします。
(3)ホースの取り付けネジ部分は開閉バルブにて内部と区切られているので、この場合は内部は確認するべきでもない。(4)指針が緑色より低く示していた場合は放射された可能性と圧力計自体の不良が考えられるが、高く示していた場合は圧力計自体の不良の可能性が濃厚。いずれにしても、内部は確認するべきである。
使用済み表示装置の設けられていない消火器の外形確認後の措置として、正しいものは次のうちどれか。
(1)安全栓が脱落していると、レバーが握られた可能性がある為、内部の点検をします。
(2)封印が切れているのは過去に安全栓が抜かれたことになるので、(1)と同等の扱いになります。
(4)封板が破損している場合は、安全弁が作動した可能性があります。
安全弁が作動したのは薬剤が何かしらの原因で混合し反応した等が疑われる為、原因追究も兼ねて内部及び機能の点検をします。
蓄圧式粉末消火器の指示圧力計の外形確認後の措置として、正しいものは次のうちどれか。
(1)周囲の温度が、使用温度範囲内であれば指示圧力計の不良が考えられる為、内部及び機能点検を行います。
もちろん使用温度範囲の上限が40℃の消火器が、周囲温度40℃において緑色範囲を超えているのは「異常あり」として下さい。
(3)緑色範囲を超えている場合は指示圧力計の不良が考えられるので、内部及び機能の点検を行います。
(4)緑色範囲以下の場合は、蓄圧ガスが漏れているか、放射されたか、指示圧力計の不良かが考えられる為、内部および機能の点検をします。
蓄圧式消火器の指示圧力計の読みと点検について、誤っているものは次のうちどれか。
(1)指針が緑色の範囲を外れているものは何らかの異常があることを示している為、消火器の内部及び機能に係る項目の点検を行います。
(2)指針が緑色の下限より下がっているものは、一部使用又は内圧不足(圧力漏れ)が疑われる為、気密試験を行い圧漏れを調べます。
(3)指針が緑色の上限より上がっているものは、指示圧力計の精度を確認し精度に異常がなければ消火器の圧力調整を行う。
(4)使用していないのに指針が0を指しているものは指示圧力計が異常で、消火器の内圧は正常にかかっている可能性がある為、排圧作業を行った後でキャップを外さなければなりません。
排圧作業は排圧栓のあるものは排圧栓により徐々に排圧するか排圧栓のないものは消火器をさかさまにし、レバーを握って排圧することにより行います。
消火器の指示圧力計の点検・整備について、誤っているものは次のうちどれか。
(1)◯指針が緑色の下限より下がっているものは一部使用が疑われる為、消火器の総質量を計り消火薬剤量を確認します。
(2)× 指針が緑色範囲を外れているものは何らかの異常があることを示しています。
消火器の内部及び機能に係る項目の点検を行い、異常の原因の所在(指示圧力計か、本体容器内部か)を明らかにします。
(3)◯
(4)◯ 指示圧力計のガラスが破損し指針が変形しているもの、指示圧力計の指針が腐食し固着しているものは「指度不良・破損」として指示圧力計を取り替えます。
蓄圧式消火器の指示圧力計の外形確認の結果の措置について、正しいものは次のうちどれか。
(1)周囲の温度が、使用温度範囲内であれば指示圧力計の不良が考えられる為、内部及び機能点検を行います。
(2)緑色範囲より下がっている場合は「少し放射した or どこかから圧が漏れている」為、内部及び機能点検を行います。
(3)指示圧力計は消火器内部の状況を圧力で監視するものです。
まず緑色範囲から外れた原因を探り、異常がなければ次に指示圧力計の不良を疑います。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、随時追記して解説を更新していきます。
その他、質問など御座いましたらボちゃんねる(掲示板)へ投稿、もしくはLINEオープンチャット「消防設備士Web勉強会」上でご連絡下さいませ。