【過去問】消火器の設置本数の計算|消防設備士乙6【鑑別(実技)】
しかし消防設備士乙6の実技(鑑別)の問題を解く上では、消火能力単位の計算などが必要となってきますよ。
実務でも覚えておくべき話なので、ここでキッチリ知識を習得しておきましょう!
消防設備士乙6の実技(鑑別)における消火器の設置本数の計算についても、以下の筆記試験で習った ❝消火器の設置基準❞ について頭に入っていれば解ける問題ばかりです。
目次
ブログ著者の紹介
管理人は消防法に基づく消防設備士および危険物取扱者の免状を共に全類取得している為、消防設備士乙6実技(鑑別)もアクション仮面のアクションビームくらいマスターしています。
筆記試験の勉強で習った ❝消火器の設置基準❞ について復習してから、実際に出た消防設備士乙6の実技(鑑別)の過去問を解いていきましょう!
能力単位の計算
建物に消火器を何本設置するか、その基準である消火能力単位の計算方法は「延べ面積 ÷ 算定基準面積」で求められます。
防火対象物またはその部分には ❝建築物その他の工作物❞ の消火に適応するものとされる消火器具を、その能力単位の数値の合計数が当該防火対象物または、その部分の延べ面積または床面積を以下の表に定める算定基準面積で除して(割り算して)得た数以上の値となるように設けなければなりません。
防火対象物の用途 | 能力単位の算定 基準面積 |
|
50㎡ |
|
100㎡ |
|
200㎡ |
算定基準面積「倍読み」の規定
ただし、耐火構造かつ内装仕上げが「難燃材料以上」であれば、用途ごとの算定基準面積を「倍読み」して計算できます。
消火器の付加設置
上記の防火対象物の総面積に対する消火器の設置に加えて、以下の火災の危険性の高い場所として指定されている箇所には追加で消火器を設置(=付加設置)します。
- 少量危険物を貯蔵・取扱う場所
- 指定可燃物を貯蔵・取扱う場所
- 多量火気使用場所(ボイラー室など)
- 電気設備使用場所(電気室など)
多量火気使用場所への消火器付加設置
多量火気使用場所に設置する消火器の必要能力単位は「床面積 ÷ 25㎡」で求められます。
電気設備使用場所への消火器付加設置
電気設備使用場所には、床面積100㎡以下ごとに電気火災に適応する消火器を1本設置します。(※必要消火能力単位の計算はない)
A火災 | B火災 | C火災 | 備考 | |
水消火器 | ◯ | × | ◯ (※霧状) |
|
強化液消火器 | ◯ | ◯ (※霧状) |
◯ (※霧状) |
|
泡消火器 (化学・機械) |
◯ | ◯ | × | 現在は、ほぼ機械泡消火器しかない。 |
二酸化炭素 消火器 |
× | ◯ | ◯ | 消火後の薬剤による汚損が無い。 使用場所に要注意! |
ハロゲン化物 消火器 |
◯ (※大型) |
◯ | ◯ | ハロゲン化物は消火薬剤として有能だが、環境に悪い。 |
粉末消火器 (ABC) |
◯ | ◯ | ◯ | リン酸塩類等を主成分とするABC薬剤以外はA火災に適応しない。 |
※ (霧状)とは霧状に放射するものに限り。(大型)は大型消火器のみ適応。
では消防設備士乙6の実技(鑑別)に出題された過去問を解いていきましょう。
消防設備士試験の過去問(鑑別)
下図は3階建ての複合用途防火対象物で、その階ごとの用途および床面積を示したものである。
【条件】
- 主要構造部は耐火構造で、内装は不燃材料仕上げである。
- 歩行距離および他の消防用設備等の設置による設置本数の増減は考慮しない。
- 消火器1本の能力単位は2とする。
- 能力単位の数値は下表を用いて算定すること。
防火対象物の区分 | 面積 |
(2)項ロ 遊技場など | 50㎡ |
(3)項ロ 飲食店など | 100㎡ |
(15)項 事務所など | 200㎡ |
上記の条件に基づき、消火器(大型消火器以外の消火器)を設置する場合、法令上必要とされる最小の能力単位の数値および設置本数を下記の語群から選んで記号で答えよ。
語群 | ア:12,イ:10、ウ:8、エ:7、オ:6 カ:5、キ:4、ク:3、ケ:2、コ:1 |
1F | 2F | 3F | |
能力単位 | |||
設置個数 |
1F | 2F | 3F | |
能力単位 | キ(4) | ケ(2) | コ(1) |
設置個数 | ケ(2本) | コ(1本) | コ(1本) |
【解説】
消火能力単位は「延べ面積 ÷ 算定基準面積」で求められます。ただし主要構造部を耐火構造とし、かつ壁および天井の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては、消火能力単位の算定基準の数値の2倍にして計算できます。
設問の条件に「不燃材料(>難燃材料)」とある為、各能力単位の数値を倍にして面積を除算することで必要能力単位が求められます。
- 1F:(2)項ロ 遊技場 400㎡ ÷ 100㎡=4
- 2F:(3)項ロ 飲食店 400㎡ ÷ 200㎡=2
- 3F:(15)項 事務所 400㎡ ÷ 400㎡=1
また設問の条件に「消火器1本の能力単位は2」とある為、上記で求めた必要能力単位を除算することで必要設置本数が求められます。
- 1F:(2)項ロ 遊技場 4÷2=2
- 2F:(3)項ロ 飲食店 2÷2=1
- 3F:(15)項 事務所 1÷2=0.5⇒繰り上げ設置のため1
下図は消防法施行令別表第1(4)項に該当する防火対象物の平面図である。
【条件】
- 主要構造部は耐火構造で、平屋建てである。
- 内装仕上げは不燃材料である。
- ボイラー室以外では多量の火気を使用していない。
- 歩行距離および他の消防用設備等の設置による設置本数の増減は考慮しない。
- 能力単位は、下表を用いて算定すること。
防火対象物等の区分 | 面積 |
(4)項 店舗など | 100㎡ |
ボイラー室 | 25㎡ |
変電室 | 100㎡ |
—
(4)項の床面積に対する設置本数 | 5本 |
ボイラー室の設置本数 | 2本 |
変電室の設置本数 | 1本 |
【解説】
消火能力単位は「延べ面積 ÷ 算定基準面積」で求められます。ただし主要構造部を耐火構造とし、かつ壁および天井の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては、消火能力単位の算定基準の数値の2倍にして計算できます。
設問の条件に「不燃材料(>難燃材料)」とある為、能力単位の数値を倍にして面積を除算することで必要能力単位が求められます。
また、消火器の設置義務は建物全体に生じる為、延べ面積は(34+8+8)m ×(22+12)m=1700㎡
(4)項:1700㎡ ÷ 200㎡=8.5
消火器の能力単位の計算に用いる数字はA火災の数字である為、上記で求めた必要能力単位を条件のA-2の2で除算することで必要設置本数が求められます。
8.5 ÷ 2=4.25 ⇒繰り上げ設置のため5本
ボイラー室の本数
ボイラー室などの多量火気使用場所には、消火器を付加設置(通常の必要本数に追加)します。
ボイラー室:96㎡ ÷ 25㎡(※内装仕上げ難燃以上の倍読み無し)=3.84
消火器の能力単位の計算に用いる数字はA火災の数字である為、上記で求めた必要能力単位を条件のA-2の2で除算することで必要設置本数が求められます。
3.84÷ 2= 1.92 ⇒繰り上げ設置のため2本
電気室の本数
電気設備設置場所には、床面積100㎡以下ごとに電気火災(C火災)に適応する消火器を1本設置します。
よって設問の電気室の床面積は8 × 12=96㎡である為、消火器を1本設置します。
下図の防火対象物に消火器を設置する場合、次の各設問に答えよ。
【条件】
- 主要構造部は耐火構造で、平屋建てである。
- 用途は消防法施行令別表第1(14)項 倉庫である。
- 内装仕上げは不燃材料である。
- 無窓階である。
- 歩行距離および他の消防用設備等の設置による設置本数の増減は考慮しない
- 消火器の能力単位は、A-4・B-10である。
総面積に対する設置本数 | |
式 | (4000 ÷ 200)÷4 |
本数 | 5本 |
変電室に対する設置本数 | |
式 | 300 ÷ 100 |
本数 | 3本 |
【解説】
総面積に対する消火器の必要設置本数
消火能力単位は「延べ面積 ÷ 算定基準面積」で求められます。
ただし主要構造部を耐火構造とし、かつ壁および天井の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては、消火能力単位の算定基準の数値の2倍にして計算できます。
設問の条件に「不燃材料(>難燃材料)」とある為、(14)項 倉庫の能力単位の算定基準面積である100㎡の数値を倍にした200㎡で延べ面積を除算することで必要能力単位が求められます。
延べ面積は(15 + 35)×(20 + 60)=4000 ㎡であるため、能力単位は(4000 ÷ 200)で求められます。
また消火器のA火災の能力単位の数値がA-4である条件より、消火器の必要設置本数は「計算式:(4000 ÷ 200)÷4」で「本数:5」と求められます。
変電室に対する消火器の必要設置本数
電気設備設置場所には、床面積100㎡以下ごとに電気火災(C火災)に適応する消火器を1本設置します。
よって設問の電気室の床面積は15 × 20=300㎡である為、消火器の必要設置本数は「計算式:300 ÷ 100」で「本数:3」と求められます。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
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