【日本初!】進入禁止の(×印)を表示する避難口誘導灯について解説
大阪府建築基準法施行条例 第8条の2にて指定された用途の建築物については、「消防法施行規則 第28条の3に掲げる避難口誘導灯は、点滅機能及び音声誘導機能を備えたものでなければならない。」と謳われています。
目次
これまで進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯が無かった理由
ズバリ「(余分だと思われてしまう)コストがかかるから」の一言に尽きます。
通常、誘導灯はAC100Vの電源を分電盤から専用回路で配線するのみの超々シンプルな施工です。
しかし、この進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯を設置する際には、以下の追加工事が生じるでしょう。
- 連動用の感知器
- 火災信号用の配線
- 制御盤(リレー等)
‥この器具、設置したことないくせに!
音声誘導・点滅機能付き誘導灯停止用の蓄積型煙感知器
火災が起こっている方向へ音声や光で合図してはならんという事で、消防法施行規則 第28条の3第4項六のハにて「避難口から避難する方向に設けられている自動火災報知設備の感知器が作動したときは、当該避難口に設けられた誘導灯の点滅及び音声誘導が停止すること。」と定められています。
その『合図やめ!』の信号を送るのが、この蓄積型煙感知器になります。
上述した『合図やめ!』の信号を送るために煙感知器を設置するのですが、まだ火災が起こった初期段階の逃げれる状況で『合図やめ!』をしてしまうのを防ぐ為、蓄積型という感知器自体に煙を感知してから一定時間経過後に発報(信号を出す)仕様のものが使用されているのです。
この音声誘導・点滅機能付き誘導灯における『合図やめ!』の信号が、進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯においては『バツ表示!』に代わるようなイメージです。
進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯の普及が期待できるシーン
コスト面の観点から進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯は一般的な誘導灯が設置される場所に対して代替する機器となることは期待しづらいとみています。
しかし音声誘導・点滅機能付き誘導灯の点滅・誘導音を『合図やめ!』で停止した際、ついでに追加で『バツ表示!』をするスキームあれば障壁が低く普及が期待できます。
進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯に関するTwitter上の議論
Twitter上にて、以下の進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯デザインに対する意見がありました。
しろくま
@sirokuma473
せめて絵柄は変えるべき
https://twitter.com/sirokuma473/status/1545192759564201985?s=20&t=jYLIDkaPstFHL9p98yY__g
arpos_aggs
@arpos_aggs
いずれにせよ今後の「進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯」の動向には引き続き注目および期待ですね!
いつか出火場所に応じて進入禁止を表示する避難口誘導灯がスタンダードとなって、そこら中に設置される日が来るかもしれません。
まとめ
- 避難経路上で火災が発生した場合に、火災により使用できなくなった避難経路上の避難口誘導灯に進入禁止(×印)の表示をする機器がリリースされた。
- これまで進入禁止(×印)の表示をする避難口誘導灯が無かった理由に「(余分だと思われてしまう)コストがかかるから」が挙げられた。
- 音声誘導・点滅機能付き誘導灯の点滅・誘導音を『合図やめ!』で停止した際、ついでに『バツ表示!』をするスキームあれば障壁が低く普及が期待できた。
日本経済新聞 電子版
@nikkei
発表日:2022年07月05日
日本初、出火場所に応じて進入禁止を表示する避難口誘導灯を開発
システム評価を取得、名古屋市国際展示場新第1展示館整備事業に初適用〜
竹中工務店(社長:佐々木正人)、東芝ライテック(社長:平岡敏行)、ホーチキ(社長:山形明夫)は、火災の発生場所に応じて危険な経路に人が進入しないような表示を行う避難口誘導灯(特許出願済)を共同開発し、一般財団法人日本消防設備安全センターのシステム評価を取得しました。本システムは、2022年6月に竣工した名古屋市国際展示場新第1展示館整備事業に初適用しました。
本システムは、避難経路上で火災が発生した場合に、火災により使用できなくなった避難経路上の避難口誘導灯に進入禁止(×印)の表示をすることで、火災状況に応じた安全な避難口へ誘導するシステムです。
人の多く集まる施設・建物には、避難口や避難方向を指示するための表示設備である避難口誘導灯等の設置が義務付けられています。一定規模以上の建物では、火災や災害の発生時、建物にいる人々が速やかかつ安全に避難できるよう、複数の避難経路が計画されています。しかし、出火場所によっては一部の避難経路が利用できない場合があり、そこにつながる避難口誘導灯が表示されたままであると、避難者が誤って危険な避難経路に誘導される恐れがありました。
本システムを採用することで、火災状況に応じた避難が可能になり、建物利用者の安全性を向上させます。また、スタッフの避難誘導業務をサポートすることが可能です。
3社は今後、大規模商業施設や展示場のような不特定多数が利用する施設、大規模倉庫など、避難経路が複雑な施設への適用拡大を目指します。
参考日経電子版