【過去問】消火器の点検および整備|消防設備士乙6【鑑別(実技)】
できるだけ実務に近い形で、過去問を順番に解説してみました!
しっかり確認していきましょう。
消火器の点検・整備をするための国家資格が消防設備士乙6であり、その本質を突いているのが実技(鑑別)の消火器の点検および整備の問題です。
目次
ブログ著者の紹介
管理人は、消防法に基づく「消防設備士」および「危険物取扱者」の免状を、共に ❝全類❞ 取得しています。
消火器の点検・整備については筆記試験の勉強で一通り学んでいる為、該当するページを見て復習してから実技(鑑別)の過去問を解いていきましょう。
消防設備士試験の過去問(鑑別)
外観点検
指示圧力計
下の写真の蓄圧式消火器の指示圧力計は指針が使用圧力範囲(緑色範囲)より下にあり、点検時に「不良」と判定された。以下の各設問に答えよ。
点検時に「不良」と判定された理由を記述しなさい。
指示圧力計がこの状態になる原因を2つ挙げよ。
消火器が使用された。 |
圧力が漏れていた。 |
指示圧力計がこの状態になる原因を判定するには、どのような試験を行えばよいか答えなさい。
消火器を秤量し、総質量を確認する。
〔解説〕
消火器を秤量し、総重量より値が小さければ「放射済」と判定できます。
消火器を秤量し、総重量と値が同じであれば「圧漏れ」と判定できます。
機能点検
下の写真A~Cの消火器の機能点検を抜き取り方式により行う場合、確認資料の作成要領について下表の(①)~(⑨)に当てはまる語句または数値を答えなさい。
下表の(①)~(⑨)に当てはまる語句または数値を答えなさい。
消火器の区分 | 確認項目 | |||
加圧方式 | 対象 | 放射能力を除く項目 | 放射能力 | |
写真Aの消火器 | (①)式 | 製造年から(④)年を経過したもの | 抜取り数 | 抜取り数の(⑦)%以上 |
写真Bの消火器 | (②)式 | 製造年から(⑤)年を経過したもの | 抜取り数 | 抜取り数の(⑧)%以上 |
写真Cの消火器 | (③)式 | 製造年から(⑥)年を経過したもの | 抜取り数 | 抜取り数の(⑨)%以上 |
—
- ①加圧
- ②蓄圧
- ③蓄圧
- ④3
- ⑤5
- ⑥5
- ⑦3
- ⑧5
- ⑨5
〔解説〕
確認試料(確認ロット)の作り方は以下の通りです。
- 器種(消火器の種類別)、種別(大型、小型の別)、加圧方式(加圧方式、蓄圧式の別)の同一のものを1ロットとすること。
- ただし、製造年から8年を超える加圧式の粉末消火器及び製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は別ロットとする。
また、試料の抜取り方については以下の通りです。
- 製造年から3年を超え8年以下の加圧式の粉末消火器及び製造年から5年を超え10年以下の蓄圧式の消火器は5年でロット全数の確認が終了するよう概ね均等に製造年の古いものから抽出する。
- 製造年から8年を超える加圧式の粉末消火器及び製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は2.5年でロット全数の確認が終了するよう概ね均等に製造年の古いものから抽出する。
下の写真は、「ある消火器」を示したものである。次の各設問に答えなさい。
この消火器の放射圧力による方式を答えなさい。
蓄圧式
〔解説〕
指示圧力計がある為、消火器の放射圧力による方式は「蓄圧式」であると判別できます。
ア→エ→オ→カ→ウ→イ→キ
〔解説〕
消火器の点検要領にて、蓄圧式粉末消火器の点検順序が以下の通り謳われています。
- (1) 総質量を秤量して消火薬剤量を確認する。
- (2) 指示圧力計の指度を確認する。
- (3) 排圧栓のあるものはこれを開き、ないものは容器をさかさにしてレバーを徐々に握り、容器内圧を完全に排出する。
- (4) キャップ又はバルブ本体を本体容器から外す。
- (5) 消火薬剤を別の容器に移す。
- (6) 前1⑹の要領で本体容器内、キャップ、ホース、ノズル、サイホン管等を清掃する。
- (7) 各部品についての確認を行う。
※ 放射の試料は⑵の確認のあと放射を行うこと。
放射試験
写真のガス加圧式粉末消火器(総重量:5.1kg、薬剤量:3.0kg、加圧用ガス容器:B-38)の放射試験を実施し、放射後の消火器の総重量を測定したら2.6kgであった。次の各設問に答えよ。
放射残量は何kgか答えなさい。
0.538kg
〔解説〕
放射試験後に、総重量が5.1kg⇒2.6kgとなった為、本体容器から放射された薬剤および加圧用ガスの質量は合計で5.1kg-2.6kg=2.5kgとなります。
加圧ガスの容器記号がB38につき、加圧ガスの質量は38g=0.038kgです。よって放射された薬剤の質量は2.5kg-0.038kg=2.462kgとなります。
本体容器に残った消火薬剤である放射残量は、3kg-2.462kg=0.538kgとなります。
放射試験の良・否を判定しなさい。
良・否 |
否
判定理由を述べなさい。
薬剤の放射率が90%未満のため
〔解説〕
消火器の薬剤放射率の許容量は、充填された薬剤質量の90%以上であり、放射後の残量が10%未満でなければなりません。
よって、2.5kg×0.1(=10%)=0.25kgであり、放射残量0.538kgの方が大きい値である為、判定は「否」となります。
点検表
写真に示す消火器の機能点検に関する点検表の点検項目について設問に答えなさい。
実施すべき点検項目で、消火器の種別欄に〇印の抜けている箇所に〇印の表示をしなさい。ただし消火器は製造年から3年を経過したものとする。
〔解説〕
写真は加圧式粉末消火器です。
設問の条件より製造年から3年を経過している為、機能点検の対象となっています。
機能点検項目の上から順番に判断基準を解説していきます。
- 内筒および液面表示‥化学泡消火器の点検項目である為、空欄。
- 消火薬剤量‥〇を記入。
- 開閉式・切替式ノズル‥水系(水や強化液)消火器の点検項目である為、空欄。
- 指示圧力計‥蓄圧式消火器の点検項目である為、空欄。
- 圧力調整器‥大型消火器の点検項目である為、空欄。
- サイホン管・ガス導入管‥加圧式粉末消火器の点検項目である為、〇を記入。
- ろ過網‥化学泡消火器の点検項目である為、空欄。
- 放射能力‥消火器全般の点検項目である為、〇を記入。
- 消火器の耐圧性能‥製造年から10年を経過したもの又は消火器の外形の点検において本体容器に腐食等が認められたものについて実施する為、設問の条件により空欄。
下の表は、消火器具点検表の一部を抜粋したものである。
蓄圧式の強化液消火器点検の際、実施すべき点検項目すべてについて異常がなかった場合、消火器の種別Cの欄の該当箇所で○印の表示をしなさい。
〔解説〕
上から点検項目の○もしくは✘および/(※試験では何も書かない)が入っていない箇所について判別していきます。
- 内筒等…化学泡消火器の話なので/(※試験では何も書かない)
- 液面表示…化学泡消火器の話なので/(※試験では何も書かない)
- 性状…強化液消火薬剤又は泡消火薬剤は、個々にポリバケツ等に移して「変色、腐敗、沈澱物、汚れ等がないこと。」を確認する。よって〇
- 加圧用ガス容器…強化液消火器は蓄圧式なので/(※試験では何も書かない)
- 開閉式ノズル及び切替式ノズル…車載式消火器のみ開閉ノズルが付いているので/(※試験では何も書かない)
強化液消火器にも車載式はあるが、加圧式のものあるので、ここでは/とした。 - 使用済みの表示装置…使用済みの表示装置は手さげ式かつ加圧式粉末消火器に装着するものであり、蓄圧式強化液消火器は指示圧力計があるので不要。よって/(※試験では何も書かない)
- 圧力調整器…大型消火器のみにあるため/(※試験では何も書かない)
- 安全弁・減圧孔…蓄圧式消火器はキャップに減圧孔がついている。よって〇
- 粉上り防止用封板…加圧式粉末消火器のみあるため/(※試験では何も書かない)
- パッキン…本体容器とキャップの間に設けるパッキンは強化液消火器にもあるので〇
よって計5か所に〇を記入します。
整備
下の写真は、使用後の粉末消火器を示したものである。、次の各設問に答えなさい。
この消火器を分解する場合、最初にしなければならない事項を答えなさい。
交換する加圧用ガス容器の適応性を判断する際に、注意すべき点を2つ答えなさい。
容器記号を間違えないこと |
総質量を秤量して許容範囲内か確認すること |
〔解説〕
加圧用ガス容器に記載されている容器記号を確認し、ねじの種類(C60等)同じものと交換します。
下の写真は蓄圧式粉末消火器の点検または整備に使用する器具の一例を示したものである。次の各設問に答えなさい。
この器具に使用されるガスの名称および、このガスを使用する目的を一つ答えなさい。
ガスの名称 | |
使用目的 |
ガスの名称 | 窒素ガス |
使用目的 | 湿気を取り除くため |
〔解説〕
写真は「エアーガン」と「窒素ガスボンベ」を接続して使用するエアダスターです。
粉末消火器の清掃は湿気を嫌うことから、コンプレッサーを用いた圧縮空気ではなく窒素ガスを用います。
この器具で、どのような点検・整備を行うか答えなさい。
消火器容器の清掃およびサイホン管の通気点検
〔解説〕
粉末消火器に付着した粉末は水洗いなどはせず、エアダスターで吹き飛ばしてから再充てんをします。
この時、サイホン管~ノズル間の通気も確認します。
下図は消火器を水に沈めて「ある点検」をしているものである。次の各設問に答えなさい。
この消火器の加圧方式を答えなさい。
蓄圧式
この点検の名称を答えなさい。
気密試験
この点検を行う理由を記述しなさい。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストであり、ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、随時追記して解説を更新していきます。
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