消防法って古くない?アップデートすべき点について消防設備士が解説

消防法って古くない?
…こんなルール時代遅れやって。
実は僕、消防法が古いとは思ってません。
古いのは消防法ではなく、我々の意識かと。

早速、結論から申し上げます。

結論

消防法が制定された歴史は古いが、その内容は定期的にアップデートされている。

消防法が「古い」のではなく、その消防法で制定されているにもかかわらず「防火管理業務がマトモにされておらず、その状況が放置されている現状」に対する消防関係者の意識

よって今アップデートが必要なのは消防法よりも、その消防法に基づいた業務に携わっている消防関係者の意識である。

バスケットボールのルールが頻繫に変更されるのと同様に、消防法も定期的にアップデートされています。
よって時代錯誤的な部分こそあるかもしれませんが、それは「古さ」ゆえの問題ではないでしょう。

消防法は古い?

消防法が施行されたのは1948年8月1日です!
いや、そういう歴史的な意味で「古い」言うてんのちゃうねん。
実態に即してない部分あるからアップデートすべきでは?って話よな。
実際、消防法って定期的にアップデートされてますよね。
例えば最近やとパッケージ型消火設備が設置しやすくなった。
規制強化ばかりされてるイメージありそうですが、しっかり緩和規定の制定も進められてますよ。
消防法って何か大きな火災が起こって犠牲が出るたびに書き換えられ、その痛みと共にアップデートされている典型的な人柱法律ですからね。
ただ、やればやるほど市民に費用面などの負担がのしかかりますから…アップデートの仕方も慎重にならざるを得ない。
そもそも消防法というか、我々消防設備士が携わっているのは設備ですから…ここでは設備に絞って話を進めた方がいいのかも。
それやったら現在ルートA~Cまで消防用設備の幅が設けられている為、割と柔軟性があってフレッシュな状態で運用しやすいルールやと思います。
まぁ細かい部分について『こうあった方がいい…』的な議論はできますが、この時代の流れの速さに対して「法」という大きな枠組みを適宜追従させるのは労力がかかり過ぎると思います。
いかに「国民の利益」になるか。
そこを論点にした場合は、まず消防法そのものより我々の意識をアップデートすべきやて。

アップデートすべき部分3つ

ここでは消防設備士が思う消防法に関わる「消防士」・「消防設備士」および「防火管理者」の三者におけるアップデートすべき部分について触れていきます。

どうしてもポジショントークっぽくなるから、あくまで消防設備士としての意見。
でも消防士の方々および防火管理者から意見を集積してますので、まだ偏り少ないほうですよ!

その①違反処理(消防士)

消防法って何や知らんうちに違反してしまっとるやん…あれ怖いわぁ。
違反してる状態なんは消防署側でも把握できてるんやけど、それが放置されているケース多々あります。
消防側からすれば立入検査して、指示さえしておけば自分たちに法的な責任ないですからね。
もし火災があったりしたら困るのは建物の管理権原者(オーナー等)って仕組み。
消防側の指導って所詮「罰則を担保に履行を求める間接強制」ですからね。
しかし違反処理も最近、潮目が変わって各消防本部で積極的に取り組もうとする動きが見られますよ。
ところで消防側の指導で「刑事告発」まで持っていくのって、やっぱり相当な手間なのでしょうか?
めっちゃ手間。まず書類揃えてないと警察も相手してくれへんから、弁護士とタッグ組んで入念な準備が必要。
大阪市やと「トクサ(特別査察部隊)」が専任で動けるけど、通常の消防本部では刑事告発までする労力が割けないのが現状。
消防さんもギリギリの人数で回してらっしゃいますもんね…駐禁みたいな感じで立入検査行ったときにペッと罰金の紙とか貼れたらいいのに。
いや…例えば消防用設備に不備があったとして、そのハード面に対する罰則ばっかり強化しても全体の防火管理効果って上がりにくいでしょう。
ほんなら…どうしたらエエんでっしゃろ?

その②ソフト面(消防設備士)

結局、防火管理ってソフト面とハード面の両輪で準備できてなかったら有効に機能し難いですよ。
消防法第17条によって民営化された消防用設備等の設計・施工およびメンテナンス業務を実施するのが消防設備士って勝手に枠組み作ってましたが、それだけじゃ足らなそう。
…ってか消防法上で防火対象物点検資格者とか防災管理点検資格者とかソフト面の業務も追加であるのに何で消防設備士はハード面だけやればいいと思ってたん?
ぐっ…(※ぐうの音も出ない)
『ハード面の違反に対して罰則を強化せよ!』って訴求よりは、しっかりソフト面にも取り組んで防火管理のレベルを上げていこうって方が自然に受け入れられやすいと思いますよ。
もっと消防士と消防設備士がタッグ組んで、ほんでコラボしてソフト面の防火管理に取り組む時代が来てるねんて!
小さい消防本部だと例えばSNS等を用いた発信でソフト面の広報・啓蒙活動をするにしても労力が割きにくいですから、その辺が得意な消防設備士とタッグ組む需要あるんじゃないかな。
よく「癒着」みたいなこと気にされたり話題にあがりますが、そんな悪い捉え方ではなくて…もっと「協力」をした方が都合ええっちゅうことなんですけどね。
消防士も消防設備士も向かう方向は一緒!市民の命を火災から救うことですから、もっと双方の歩み寄りや擦り合わせが大事でしょう。
その為に、もっと業界団体に踏み込んでいって全体の意見を取りまとめて官側と協力したいと思っています。

その③防火管理者制度(防火管理者)

消防業界の未来って、いかに市民の防火管理意識を向上させられるかどうかが今後のカギですよね。
防火管理者制度によって「防火管理者を選任する部分まで」は達成しているので、それ以降のキャリアを描く必要があります。
もし防火管理者が防火管理業務できなくても…外部委託とかの制度あるからアウトソーシングしたらいいじゃないですか。
それも一つの手段ですね。その前に防火管理業務を適切に実施すべきという意識を持ってもらう必要がありますが。
具体的に、どういう施策を取れば防火管理業務について周知できるだろう…?
まず消防関係者が防火管理業務について建物の管理権原者や防火管理者に伝えること、この意識をアップデートして持つことかな。
「防火管理業務がマトモにされておらず、その状況が放置されていること」こそ時代に即してない…つまり「古い」ですよね。
ただ例えば大阪府下でも大阪市などは防火管理者の未選任を重大違反扱いにしてたりして、いかにソフト面も重要かってのを仕組みで主張してたりする。
それって具体的に、どういうことですか?
国全体では「スプリンクラー設備・屋内消火栓および自動火災報知設備の未設置」といったハード面の不備を重大違反と言いますから、それだけ防火管理者ってのも大事だって位置づけだと見受けられるのですよ。
でもなアンタそんなん言うても、たった1~2日の講習を受けただけで建物の防火管理業務するんなんて…もはや無理ゲーやて。
だから消防関係者でも特に定期的に建物に出入りし、かつ商売になる我々「民間企業の消防設備士が、防火管理者の補助をする」のが理にかなってるんですよ。
ほう…この件について論理的思考を進めても、やはり今回ウチが取り組んだ「ボジョ」や「BOSAIメンバー」の仕組みで防火管理者をサポートしていくってのは要りそう。
お見込みの通り…どんどん消防業界をアップデートして次世代にマシな未来が残せるよう共に努めましょう!
では、この辺で…ドロンさせてもらいます。

まとめ

  • 消防設備士が思う消防法に関わる「消防士」・「消防設備士」および「防火管理者」の三者におけるアップデートすべき部分について触れた。
  • 消防法が「古い」のではなく、その消防法で制定されているにもかかわらず「防火管理業務がマトモにされておらず、その状況が放置されている現状」に対する消防関係者の意識が古かった。
  • よって消防法よりも、その消防法に基づいた業務に携わっている消防関係者の意識をアップデートすべきであった。